走り続けた16年(202)

「今、市政で何が」

9月の市議会定例会で、令和2年度の一般会計決算が審査されました。この結果、認定に賛成の議員は4人、反対議員が18人で不認定になりました。

決算審査は、その年度の行政が適正に執行されたか否かが問われるもので、4年連続しての不認定は異常な状況であり、過去に例のないことです。

昨年、世界中を震撼させ、今も続くコロナ禍が市民生活に大きな影響を与えています。国も都も支援策を打ち出しますが、市の対応策は必ずしも十分といえる状況にはありません。令和2年度の一般会計でのコロナ禍における市の独自策は、コロナ禍で中止になったイベント等の不用額、6千600万円をそのまま回したに過ぎないのではないかと議会で指摘される程度です。

都市間競争が叫ばれる中、隣接の武蔵野市は当該の令和2年度で約7億6千万円、本年度はくらし地域応援券の発行などで23億円が予定されており、この2年間で30億円が「市民の暮らしとまちの経済を守り、まちの活力につなげるための支援策」として予算化されています。西岡市長の唱える「住んで良かったと言われる小金井市」とするには、今こそ社会的弱者といわれ、声の出せない人々への独自策としての予算措置が必要です。

さらに、不認定の理由の一つは新庁舎建設問題にあります。西岡市長は市長選挙で「庁舎、福祉会館、図書館など6施設復号化は67億円で、新たな市民負担はない」と公約して当選しました。5か月後に「4施設に変更は私のゆるぎない方針」と断言。それが、5か月後には「ゼロベースで見直す」に変わりました。市民の期待を集めた超目玉公約の図書館は消えてしまいました。「67億円は建設費だけである」としていますが、図書館を除いても84億4千万円であり、設計等を含めた総事業費は112億円に膨れ上がり、その74%は借金で「新たな市民負担はない」と到底いえる状況ではありません。もし、図書館も入れれば選挙公約を100億円以上もオーバーすると思われます。選挙公約とはいったい何なのか。

市が基本設計の予算を提案できないことから、平成30年9月、市議会6会派12議員による非公式の提言があり市長はこの提言を参考に調整したものを、基本設計の選定に示しました。この整備方針を市長や与党系議員は市長案ではないと主張しますが、政策決定は市長の専権であり、自らの政策意思に反する内容ならば、それは拒否することになります。議員や市民の提言を参考にしても、決定すればそれが市長案なのです。市長に付与された権限と責任とはそういうものなのです。

議会は昨年3月の定例会から毎定例会に、コロナ禍での市民生活優先と、財政見通しを立てての庁舎建設を何度も求めています。しかし、結局議会の指摘に耳を貸すことなく、9月議会でも最終本会議で再度、新型コロナ感染拡大が市政に与える影響を考慮し新庁舎等建設の見直しを求める決議が賛成16、反対6で可決されました。

庁舎建設に反対の議員は一人もいません。この空前のコロナ禍による税収不足や建築資材の値上がり、市民生活など懸念されます。市長は一度立ち止まり、市民や議会の声に耳を傾けることが、結果的には早期の竣工になると思われます。

(つづく)

走り続けた16年(168)

【今、市政で何が】

西岡真一郎市長は平成27年12月の市長選挙で「市庁舎、福祉会館、図書館等6施設を複合化し、それに要する建設工事費は67億円で新たな市民負担はない」という選挙公約で当選しました。しかし、その公約は就任間もなく2転3転、5か月後には「私の揺るぎない方針とする」との発言内容で超目玉公約の図書館は消えてしまいました。また、10か月後には「ゼロベースで見直す」と表明し「今後、市民、議会、行政が一体となって進むべき方向を定める」との考えを表明。これにより、選挙公約は白紙撤回となりました。

その後、紆余曲折の末、平成30年6月議会に提案された庁舎・福祉会館建設の基本設計委託費の補正予算に、14人の議員が付帯決議を付けて賛成に回り、基本設計に着手することができたのです。

その基本設計が整ったことから、市民への基本設計に関する説明会や本年2月の市報で基本設計(案)を発表し、パブリックコメントにより多くの市民から多くの提案や意見が寄せられました。しかし、それに対する対応は十分とはいえず、形だけのアリバイづくりの感もありました。

市長は、設計の最終段階である実施設計を予算の可決を理由に、本年6月2日実施設計の業務委託契約を締結し、12月以降は設計変更はできないと発言しています。しかし、先ず市民から寄せられた提案等に誠実に対応する必要があります。

市民からの意見の多くは、①市民のためのひろばの設置。②福祉会館も庁舎同様、安全性の高い免震構造に。③建設工事費と工事期間の縮減。④小金井市のシンボルとなる大時計の設置などでした。

こうした意見を十分に反映させず実施計画に入ることは、何のための説明会やパブリックコメントだったのかが問われます。

市長案のL字型の建物は、3階建ての福祉会館が6階の市庁舎の北側に位置し、それが、庁舎に食い込むような設計になっていて、建設費、メンテナンス、防災、日照等を考えると、この設計は無理があり、意味のない設計者の遊びのようです。

現在、市民団体が建設計画案を提案しています。これは、本年2月の説明会での一市民の提案で、内容説明にも応じず、やっと議員の斡旋で10月下旬になって短時間の面談が実現したようです。

市民団体の案は、庁舎を10m程北側に移すことで、南側に陽の当たる3千平方メートルの広場が生まれます。また、建物をL字型からI字型に変えれば、全面南向きで大震災に対応するため、庁舎だけでなく福祉会館も理想とする免震構造にすることができます。

また、建設工事費は大幅に削減され、工事期間も短縮される計画であり、市長案の問題点が解消されることになります。

今後50年以上にわたり使用していく市民の庁舎です。時間切れによる見切り発車でなく市民等の意見を十分に反映させて進めていかなければなりません。

日本の標準時が貫井北町の情報通信研究機構から発信されているのは、小金井市の誇りであり、魅力発信として新庁舎に電車から見える位置に大時計の設置をしたいものです。その資金集めにはクラウドファンデングの活用も考えられます。

(つづく)

走り続けた16年(143)

令和初の市長選挙⑤

前回に続いて、昨年12月の市長選挙での西岡真一郎市長の選挙公報の『平成4(1992)年に約120億円で土地を購入するも、27年間動かなかった庁舎問題。この長年の課題を、西岡市政でやっと解決しました』について『27年間動かなかった』については事実ではない、と前号で指摘させていただきました。今回は後段の『西岡市政で解決しました』について、どうだったか検証します。

前回平成27年12月の市長選挙の選挙公約は「蛇の目跡地に庁舎、福祉会館、図書館等6施設を集約し、改修費&維持管理費を節減して、新たな財源にする。それは、67億円で新たな市民負担はない」というものです。

この選挙公約の最大のポイントは図書館を入れたことです。

図書館は市民要望の強い施設で、中央図書館建設に期待する声は非常に大きいものがあり、有権者の気持ちを捕らえるには格好の選挙公約でした。しかし、財政的には到底無理であるとの判断から、他の候補者は公約に掲げませんでした。

選挙後、市議会で要職を務め、別の候補者を推していた元議員のN氏が「選挙公報を見て、あ〜やられたと思った」と言っていたのが印象的でした。

就任した西岡市長は当選間もない平成28年1月の市議会で、6施設複合化は直近の民意であり、これを果たすのが私の使命です、と公約の実現を力強く宣言しています。

しかし、3月に市長は庁内に「6施設複合化プロジェクトチーム」(PT)を設置し、自らの選挙公約の実現の可能性について検証に入りました。本来、実現できることを公約するもので不確実なものを公約すること自体問題です。

その検証中にも関わらず5月には6施設一括整備は困難とし、図書館等を除く4施設の先行整備を「揺るぎない方針とする」とし、当選を果たして半年も経たないうちに超目玉公約の図書館は消滅してしまいました。

8月末、職員によるPTの報告書は「事業の推進に当たっては他の行政需要とのバランス等を勘案の上、総合的に判断されていくべきものと考える」との事実上不可能との指摘となりました。

さらに、10月にはその「揺るぎない方針」も「新庁舎の建設はゼロベースで見直すことを決断し、今後、市民・議会・行政が一体となって進むべき方向を定める」と大きく揺らぐ考えを表明しました。しかし、市長は「公約の撤回ではない」と主張しますが、これは公約の白紙撤回と解すべきと思われます。

また、平成30年11月の市民説明会で「67億円については、建設費だけであってその他の設計費用等は含まれていないことから、現段階で想定している総事業費約90億円と乖離が生じています。市議会をはじめ、多くの市民の皆様に誤解を与えかねない表現であったものと、お詫び申し上げます」と発言していますが、これは図書館の建設費40〜50億円を含まないものであり、これを加えれば選挙公約の67億円の倍以上になり「もし、誤解を与えるような表現だったら申し訳ない」という市民説明会での発言で済むような問題ではないと思われます。「新たな市民負担はない」には何と弁解するか。

(つづく)

走り続けた16年(71)

西岡市政、折り返し点を経て②

西岡真一郎市長が誕生した市長選挙で、西岡市長から「小金井市の財政が厳しいのは行財政改革が進まなかったことが原因だ」と厳しく批判されました。

しかし、私の市長在任中、財政再建、そして、街づくりやごみ問題も大きく進展したと思います。財政再建に関しては、この16年間の財政の柔軟性を示す経常収支比率や小金井市最重要課題の人件費比率の改善率は多摩26市でトップです。それは、職員給与や職員数の削減など職員の身を切る協力や行革を推し進めてきた議員の熱意の成果です。それを正しくご理解いただくため、後日、本欄で報告させていただきます。

西岡市長は「真の行財政改革」を謳い文句に平成27年12月18日任期がスタートしました。そして、就任早々、大きな決断をしました。

それは、職員の給与を大幅にアップするというものです。

小金井市職員の地域手当は長い間10%とされてきました。これが人事院勧告により総務省は小金井市は15%区域と指定し、平成27年は13%、28年は15%と5%アップを2年での制度完成を伝えてきました。しかし、私は小金井市の財政状況から短期間では無理との考えから、職員組合との交渉は膠着状況となり進展しませんでした。

地域手当とは勤務地により生計費・生活条件に差がでることから地域間格差をなくすため支給するもので、本俸、扶養手当、管理職手当の合計にそのパーセントに値する額を加算するものです。

ちなみに改正前の中央線沿線市は武蔵野市、国分寺市、国立市が15%、立川市が12%、三鷹市と小金井市が10%であり、この率は納得できる基準ではなく、私は機会がある度に国に見直しを求めてきました。それは、12〜13%を想定していたもので、15%は意外で国の通知にそのまま従うという考えにはなりませんでした。

私は、退任する数日前に労務担当の管理職に私の考え方を伝えました。それは、前任者の考えは、と問われたときのためで、1%ずつをアップし、5年での制度完成が私の考え方だと伝えました。

12月18日に就任した西岡市長は24日、この地域手当のアップを、職員組合とわずか1週間という時間のない中で合意しました。

市のホームページの市長日誌にあるように就任早々は挨拶回りなど超多忙です。そのような中でなぜ急いで合意しなければならないのか理解できません。制度は理解できても、各部課の抱える課題や財政状況などを把握するには余りにも時間がありません。

この決断が直接の市民サービスであるなら理解しますが、30年以上にわたり市財政に重くのしかかっていて、やっと改善できた人件費なだけに信じられない思いでした。

これによる平成27年度は6千100万円、次年度は1億2千800万円、3年目は1億6千100万円の財政負担が増となるのです。

(つづく)

走り続けた16年(70)

西岡市政、折り返し点を経て①

西岡市政が平成27年12月18日にスタートして折り返し点を通過しました。この2年を選挙公約などを基に振り返ってみます。

まず、選挙公約の実現についてですが、西岡真一郎市長は蛇の目工場跡地に市庁舎、福祉会館、そして、図書館などの6施設の複合化を市民に約束して当選しました。他の候補者との大きな違いは公約に図書館を入れたことです。図書館は従来から非常に市民要望が高く、建設が期待される施設なのです。

また、この複合化による建設は、改修費と維持管理費の削減になり、建設には市民負担もなく、財政問題と切り離して実現できるというものでした。

そして、「6施設複合化は直近の民意であり、これを果たすことが何より重要なことで、私に与えられた使命であり、何としても果たしたい」と力強く議会で発言しました。

平成28年3月、自らの選挙公約を市職員による「6施設複合化プロジェクトチーム」(PT)を立ち上げて検証に入りました。公約を職員に検証させること自体問題ですが、そのPTが検討中、結果を待たずして、5月には図書館等を外して「4施設2機能複合化を揺るぎない方針とする」と公約の変更を議会で表明しました。

この変更で、6施設複合化による改修費と維持管理費の削減や市民負担はないというメリットの公約をどうするのか。また、直近の民意を無視するのか。期待の図書館は、等々疑問を持たざるを得ません。結局、市長は公約に沿ったプランを何ら示すことなく公約の変更になりました。

8月末、市職員によるPTの報告は「6施設複合化には109億円の財源を必要とする」というもので、西岡市長の公約の67億円を大きく上回るものでした。報告書で「事業の推進に当たっては他の行政需要とのバランス等を勘案の上、総合的に判断されるべきものと考える」と指摘されました。これが検証の集約になるのでしょう。市長の選挙公約を補助職員が検証する辛さを感じました。しかし、その検証結果を待たずに6施設を諦め、4施設に変更してしまうのも問題です。

さらに、10月には、「揺るぎない方針」としたものが「市役所建設はゼロベースで見直すことを決断し、今後、市民・議会・行政が一体となって進むべき方向を定める」と変更しました。この「ゼロベースで見直す」を「公約の白紙撤回」と言わずに何と表現するのでしょうか。

公約の実現に期待して投票した市民は失望するでしょうし、公約の変遷により市職員や市議会が振り回されてしまいました。その時々の言葉は美しく耳に響くのですが、どれを信じたらいいのか疑問を持ちます。

また、選挙公約を当選後、次々と変更することが許されるなら、市民は選挙にあたり何を基準に投票することになるのでしょうか。

西岡市長には公約の変遷について市民に分かりやすく説明する責任があります。それを果たすことを期待します。

(つづく)