走り続けた16年(143)

令和初の市長選挙⑤

前回に続いて、昨年12月の市長選挙での西岡真一郎市長の選挙公報の『平成4(1992)年に約120億円で土地を購入するも、27年間動かなかった庁舎問題。この長年の課題を、西岡市政でやっと解決しました』について『27年間動かなかった』については事実ではない、と前号で指摘させていただきました。今回は後段の『西岡市政で解決しました』について、どうだったか検証します。

前回平成27年12月の市長選挙の選挙公約は「蛇の目跡地に庁舎、福祉会館、図書館等6施設を集約し、改修費&維持管理費を節減して、新たな財源にする。それは、67億円で新たな市民負担はない」というものです。

この選挙公約の最大のポイントは図書館を入れたことです。

図書館は市民要望の強い施設で、中央図書館建設に期待する声は非常に大きいものがあり、有権者の気持ちを捕らえるには格好の選挙公約でした。しかし、財政的には到底無理であるとの判断から、他の候補者は公約に掲げませんでした。

選挙後、市議会で要職を務め、別の候補者を推していた元議員のN氏が「選挙公報を見て、あ〜やられたと思った」と言っていたのが印象的でした。

就任した西岡市長は当選間もない平成28年1月の市議会で、6施設複合化は直近の民意であり、これを果たすのが私の使命です、と公約の実現を力強く宣言しています。

しかし、3月に市長は庁内に「6施設複合化プロジェクトチーム」(PT)を設置し、自らの選挙公約の実現の可能性について検証に入りました。本来、実現できることを公約するもので不確実なものを公約すること自体問題です。

その検証中にも関わらず5月には6施設一括整備は困難とし、図書館等を除く4施設の先行整備を「揺るぎない方針とする」とし、当選を果たして半年も経たないうちに超目玉公約の図書館は消滅してしまいました。

8月末、職員によるPTの報告書は「事業の推進に当たっては他の行政需要とのバランス等を勘案の上、総合的に判断されていくべきものと考える」との事実上不可能との指摘となりました。

さらに、10月にはその「揺るぎない方針」も「新庁舎の建設はゼロベースで見直すことを決断し、今後、市民・議会・行政が一体となって進むべき方向を定める」と大きく揺らぐ考えを表明しました。しかし、市長は「公約の撤回ではない」と主張しますが、これは公約の白紙撤回と解すべきと思われます。

また、平成30年11月の市民説明会で「67億円については、建設費だけであってその他の設計費用等は含まれていないことから、現段階で想定している総事業費約90億円と乖離が生じています。市議会をはじめ、多くの市民の皆様に誤解を与えかねない表現であったものと、お詫び申し上げます」と発言していますが、これは図書館の建設費40〜50億円を含まないものであり、これを加えれば選挙公約の67億円の倍以上になり「もし、誤解を与えるような表現だったら申し訳ない」という市民説明会での発言で済むような問題ではないと思われます。「新たな市民負担はない」には何と弁解するか。

(つづく)