走り続けた16年(168)

【今、市政で何が】

西岡真一郎市長は平成27年12月の市長選挙で「市庁舎、福祉会館、図書館等6施設を複合化し、それに要する建設工事費は67億円で新たな市民負担はない」という選挙公約で当選しました。しかし、その公約は就任間もなく2転3転、5か月後には「私の揺るぎない方針とする」との発言内容で超目玉公約の図書館は消えてしまいました。また、10か月後には「ゼロベースで見直す」と表明し「今後、市民、議会、行政が一体となって進むべき方向を定める」との考えを表明。これにより、選挙公約は白紙撤回となりました。

その後、紆余曲折の末、平成30年6月議会に提案された庁舎・福祉会館建設の基本設計委託費の補正予算に、14人の議員が付帯決議を付けて賛成に回り、基本設計に着手することができたのです。

その基本設計が整ったことから、市民への基本設計に関する説明会や本年2月の市報で基本設計(案)を発表し、パブリックコメントにより多くの市民から多くの提案や意見が寄せられました。しかし、それに対する対応は十分とはいえず、形だけのアリバイづくりの感もありました。

市長は、設計の最終段階である実施設計を予算の可決を理由に、本年6月2日実施設計の業務委託契約を締結し、12月以降は設計変更はできないと発言しています。しかし、先ず市民から寄せられた提案等に誠実に対応する必要があります。

市民からの意見の多くは、①市民のためのひろばの設置。②福祉会館も庁舎同様、安全性の高い免震構造に。③建設工事費と工事期間の縮減。④小金井市のシンボルとなる大時計の設置などでした。

こうした意見を十分に反映させず実施計画に入ることは、何のための説明会やパブリックコメントだったのかが問われます。

市長案のL字型の建物は、3階建ての福祉会館が6階の市庁舎の北側に位置し、それが、庁舎に食い込むような設計になっていて、建設費、メンテナンス、防災、日照等を考えると、この設計は無理があり、意味のない設計者の遊びのようです。

現在、市民団体が建設計画案を提案しています。これは、本年2月の説明会での一市民の提案で、内容説明にも応じず、やっと議員の斡旋で10月下旬になって短時間の面談が実現したようです。

市民団体の案は、庁舎を10m程北側に移すことで、南側に陽の当たる3千平方メートルの広場が生まれます。また、建物をL字型からI字型に変えれば、全面南向きで大震災に対応するため、庁舎だけでなく福祉会館も理想とする免震構造にすることができます。

また、建設工事費は大幅に削減され、工事期間も短縮される計画であり、市長案の問題点が解消されることになります。

今後50年以上にわたり使用していく市民の庁舎です。時間切れによる見切り発車でなく市民等の意見を十分に反映させて進めていかなければなりません。

日本の標準時が貫井北町の情報通信研究機構から発信されているのは、小金井市の誇りであり、魅力発信として新庁舎に電車から見える位置に大時計の設置をしたいものです。その資金集めにはクラウドファンデングの活用も考えられます。

(つづく)