走り続けた16年(24)

「今、市政で何が…」

西岡真一郎市長が誕生し9か月が過ぎますが、ボタンの掛け違いのままで、事態が推移しているように感じられます。

昨年12月の市長選挙、最大の争点は庁舎問題でした。

西岡市長の選挙公約は、蛇の目跡地に総合庁舎、福祉会館、そして、図書館等の6施設を複合化するというものでした。図書館は市民要望が非常に高く、有権者の気持を捕らえるには格好の選挙公約なのです。

しかし、6施設の複合化に係る建設工事費は67億円で、新たな市民負担は生じないとすることに、疑念を抱く市民も多くいました。

西岡市長は、庁内に「6施設複合化プロジェクト・チーム」(PT)を設置し、自らの選挙公約の検証に入りました。本来、自らが検証して公約とするものです。そうでなければ、実現が不可能でも公約となり、無責任に言ったもの勝ちになってしまいます。職員に公約を検証させること自体にも問題があります。

その後、市長は検証中にも係わらず6施設の公約を撤回し、図書館等を除く4施設に変更することを議会で表明しています。

8月31日、PTの最終報告書が議会に示され、「6施設複合化には109億円の財源を必要とする」というもので、選挙のときに示された財源計画とは大きな隔たりが生じています。また、PTの調査、検討には選挙時の資料の提供や、市長の具体的な対応もなかったようで、市長の意志の入らない報告書となっています。

本来、市長がPTに積極的に加わり自らの責任で作成しなければ、それは、職員の単なる自主研修・勉強会の域を出ず、その研究成果の発表の報告書になってしまうのではないかと危惧します。

報告書の最後に「事業の推進に当たっては他の行政需要とのバランス等を勘案の上、総合的に判断されていくべきものと考える」との指摘は的確であり、これが検証の集約になるのでしょう。

最終報告書に対する議会での質疑の中で、「市長公約の6施設複合化は、でたらめの空想に過ぎないと言っても過言でなく、まさに『詐欺同然』と市民から指摘されても仕方ない」との議員の発言がありましたが、市長からも他の議員からも発言の撤回を求める声すら出ず、最後に市長の「いただいたご質問とご意見と、市民の声を合わせ、しっかりと庁舎問題等の解決に取り組んでいく所存でございます。本日は誠にありがとうございました」は、形式的に用意された挨拶文であったとしても、「詐欺」という言葉になぜ反論しないのか、私には考えられません。

今、早急になすべきは、清掃関連施設の整備も含めた6施設の財政計画と建設スケジュールです。それが示されなければ羅針盤も航海図も持たずに荒海に出港するようなもので、議会も市民も判断が難しいのではないでしょうか。

来年2月に次の契約更新の判断が求められる第二庁舎や新福祉会館の今後の対応、旧福祉会館の借地料と地上権の取扱いの問題など、課題を先送りせず早急な対応が必要だと思われます。

(つづく)