走り続けた16年(8)

財政健全化への闘い①

平成11年4月26日市長としてスタートして間もない5月中旬、東京都総務局行政部の幹部職員5〜6人が来庁されました。

その際、言いにくそうに出た言葉は、「当選して間もないところで申し上げるのは心苦しいが」と前置きし、「小金井市の財政は極めて厳しい、このままでは自治体としての存続すら危ぶまれる」との言葉でした。財政の厳しさは議員として十分理解していたことなので特に驚くことではありませんでした。私は「行政改革を進めるなど財政健全化に向け全力で取り組みますので、東京都においても特段のご指導ご支援をお願いしたい」と申し上げ、都の協力を取り付けました。今でもその光景は忘れられません。

市長としての任期が続くことにより、その間、都の職員も部長、局長、副知事と昇進し、小金井市の要望を叶えられる役職となったとき、その人脈を十分に活用させていただきました。

私が市長に就く以前、平成6、7年度の決算では、財政の弾力性を示す経常収支比率は全国660数市の中でワースト1位。その後、財政再建団体に陥ったあの北海道夕張市をも下回る比率でした。

その平成7年度決算では、経常収支比率107%、人件費は約104億円で一般会計に占める割合は33・8%であり、多摩27市の平均は21・4%でしたので、単純にこの率を小金井市の予算に当てはめれば38億円が過剰であるということです。これは、この年度だけではなく過去から長く続いてきたことでした。

平成8年度も状況は変わらず、翌9年度はついに定年退職者の退職金が払えず、全国で初めて退職手当債(借金)6億5千万円を発行して退職金を支払うという状況に陥りました。また、普通退職者も予算不足により退職金が払えないため、年度を跨いで新年度4月の退職をお願いすることもありました。

また、バブル経済の崩壊による税収減の中で、社会保障費の歳出は増え続け極めて厳しい財政状況が続いていました。

冒頭に申し上げた、都職員の来庁はこの様な財政状況からであり、これを改善するには職員数の削減や給与の適正化等人件費をはじめ行財政改革を強力に進めることでした。
(つづく)

「今、市政で何が」

小金井市議会は、3月28日深夜の本会議で総額402億円の平成28年度一般会計予算案を採決し、民主党会派2人の賛成、その他8会派21人全員の反対により否決となりました。西岡真一郎市長は、4、5月の2カ月の暫定予算を提案し議会は可決しました。

予算否決の背景は、西岡市長の選挙公約の核となった庁舎、新福祉会館等6施設を蛇の目ミシン跡地に集約することについて、全体計画、完成までのスケジュール、そして、財源計画等の目途が示されないことに起因するものと思われます。今後、市長自身による具体的な計画を早急に市民や議会に示す必要があると思います。