走り続けた16年(205)

今、市政で何が

去る11月16日、西岡市長からの申し入れにより市議会全員協議会が開催されました。これは庁舎・福祉会館建設の実施設計段階において積算された建設費が分かったことから、その財源計画(案)と市の今後5年間の中期財政計画(案)を議会に示すものでした。

その結果、庁舎等複合施設の基本設計の段階での84・4億円が、実施設計では90・7億円と大幅なアップになりました。市長は新たな浸水対策の1・2億円も84・4億円に包含するとの考えが一変、設計等を含めた総事業費は120億円を超えることになりました。

西岡市長の市長選挙の公約は庁舎・福祉会館に図書館を加えた6施設の複合化は67億円で、新たな市民負担はないというものです。この選挙公約は論外としても、報告の度に大幅なアップは、課題山積の市政で、庁舎だけは聖域の様相で歯止めが掛からないのは問題です。チェック機関である議員の大多数が、議会の度後、市長に翻意を促すが、市長は全く貸す耳を持たない状況です。

市長は、議会が議決した予算を適正に執行してるという主張ですが、議員の立場は微妙です。予算否決は市民生活に影響を与えることや、全議員が庁舎建設に賛成であることから、市長に対し、いろいろ条件をつけて予算に賛成するものの、市長はその条件に対応しないことが、異常ともいえる4年連続しての一般会計決算の不認定の原因と思われます。議会の度ごとに乖離は深まる一方です。

市長は、議員は予算に反対できない、庁舎完成後の市庁舎の所在地変更の条例改正は3分の2の特別多数議決も、進めてしまえば反対できないと考えているように思われます。

小金井市は昭和50年前後の革新市政時代に大量の職員採用を果たし、人件費は事業費であり、それが市民サービスであるとの判断を議会も市民も納得してしまったことが結果的に大きな負の遺産となり、その改善には30有余年の年月を要しました。市長も議会も市政の方向性を誤ることのない対応を求めます。

市庁舎は市にとって必要不可欠の施設ではあります。しかし、これは生産性を上げるものではなく、税金を生み出すものでもありません。一般に市民の方々が市役所に行くのは年間を通しても1〜2回程度のものです。他の市民施設と違い利用したいと思って利用するというものではないのです。議会の意見に耳を貸さず、時間切れ見切り発車で強引に進めた場合、歴史的な評価に耐えられなくなることを危惧します。

この庁舎・福祉会館はL字型に建てられ、6階建て庁舎の北側に3階の福祉会館が庁舎に食い込む形の設計は疑問を持たざるを得ません。また、庁舎が大地震に際して、より安全に対応できる免震構造に対し、高齢者や障害のある人たちが利用する福祉会館が耐震構造であることも理解しにくいものです。あの3・11東日本大震災時、福祉会館内の福祉共同作業所の混乱を思うと、I字型での一体化したシンプルな免震構造が望まれます。

このコロナ禍で、総事業費の見直しを求める議会の要望に対し、返ってきた回答が大幅アップです。現計画のままでのコスト削減は不可能です。今こそ小金井市の財政状況を考慮した大胆な行政運営が求められます。

(つづく)