走り続けた16年(46)

苦闘する庁舎問題⑰

リース庁舎からの脱却は、議会も行政も、そして市民にとっても悲願でしたが、財政上の問題等でリース庁舎を継続せざるを得ませんでした。

それが、第二庁舎の所有者と信託銀行との信託契約が解除され、また、所有者の売却の意思が確認され、さらに起債(借金)の許可も下りることの確認から、リース庁舎からの脱却のための第二庁舎の取得に全庁挙げて取組み、入念にそのための準備に入りました。

最大の難関は議会の理解ですが、所有者と売却の諸条件が整う前に市が一方的に公にすることはできません。そのため、水面下で過半数の議員の理解を得るため、節目節目で説明し、理解を得ながら進めてきました。

平成26年第3回(9月)定例会に第二庁舎取得のため18億6千万円を含む補正予算を追加提案し、議会の理解を得るための市議会全員協議会が連日開かれましたが、なかなか議会の理解が得られず、取得に反対の意見ばかりが繰り返されました。また、議員の中からは補正予算は撤回すべきとの意見も出てきました。

私の大誤算は、議会へ補正予算の提案後、賛成が過半数を割ってしまったことです。

議会は議決機関であり、提案された案件に賛否を表明するのが本来の役割であり、それを、公表、表明せずに、提案された議案を撤回の方向に導くのは、責任放棄の一態様であり、議員には責任を回避せず賛否を表明して欲しかった。

私は、議会が議決しないことを理由に、自らの判断で専決処分することも考えましたが、その後に提案する財産取得の議案が否決されれば元も子もなくなることから、諦めざるを得ませんでした。

また、小金井市の将来を思い、自分の首と引き換えに合意をとることも考えましたが、結果的には裏取引があったかの様に捏造(ねつぞう)され喧伝されるのが落ちだと諦めました。

議案を撤回する位なら、撤回と同時の辞職も考えていました。それは、取得の必要性を市民に気付いて欲しいためで、一部の支援者や議員にも私の考えを伝えました。さらに、これまでの状況を理解している土屋正忠代議士にも伝え、土屋さんからは「よく考えて行動するように」ということでした。

ただ、日野市、国分寺市と本市と3市での可燃ごみの共同処理のための組合設立の準備がやっと軌道に乗った段階で、私が辞職すれば再びごみ問題の混乱は避けられず、それには躊躇(ちゅうちょ)し悩みました。

9月29日、議長から、議会審議等の状況を勘案して議案の取下げの進言を受けた時、辞職を決意し、与党の議員には「私の覚悟はできている」と話しましたが、辞職ととったかは分かりません。

30日朝、妻に「今日で終わる」と言って家を出ました。そして、私は議案の撤回に応じたのです。しかし、日野市、国分寺市と3市での可燃ごみ処理の重要性から、小金井市政第一に考え、地位に恋恋とする気は全く無いが、市長職を継続する決意をしました。

(つづく)