走り続けた16年(203)

街づくりへの挑戦 中央線高架⑧

JR中央線三鷹〜立川間13・1kmの高架化は、その間にある18か所の踏切りを除却することになるのです。

特に武蔵小金井駅東側の小金井街道踏切りは、ラッシュ時の1時間は1分間も開かない「開かずの踏切り」により発生する交通渋滞の解消や、鉄道により南北に分断された市域の一体化を促進するなど効果のある事業であり、多摩地域全体においても期待の事業で、国の事業採択の条件は東小金井駅北口の区画整理事業の進捗に懸かっていました。

そのため平成6年は多摩地域自治体注視の中、大久保慎七市長も市議会推進議員も慌ただしく動きました。

4月に行われた2度の説明会は、開会前から大混乱となり、説明に入れず打ち切りとなりました。そのため、市長を本部長とする推進本部を設置し、幹部職員により地権者を個別に訪問し、説明を繰り返しました。

この辺の状況を7月25日の日本テレビ「ニュースプラス1」の「ニッポン紛争地図」は、片寄ったと思われる放映であり、私は日本テレビに激しく抗議し、今見ても憤りを感ずる程です。その後10月13日の同番組で再度放映され、私は法的措置は断念しました。

また、9月の市議会定例会で「区画整理推進の陳情」が採択、「反対の陳情」を不採択とし、議会の意思が確認されました。

これを受けて市は10月1日、市立第三小学校体育館で地権者を対象に土地区画整理の説明会を行いました。4月の混乱を参考に、体育館を地権者、一般市民、議員を区分けし、事前に受けた質問に回答し、会場での質問にも答え、説明会は混乱なく終了しました。

市は10月11日の市議会全員協議会に東小金井駅北口土地区画整理等の都市計画の案を示し、17日開催の小金井市都市計画審議会に東小金井駅北口土地区画整理事業の都市計画案を諮問しました。

これが、国に評価され平成7年度予算の大蔵原案に遅れていた三鷹〜国分寺の東区間の調査費が計上されました。これにより、すでに事業採択されている立川〜国分寺の西区間と合わせ、全線高架に向け前進しました。

都市計画が決定するなど手続きは順調に進みますが、反対運動も盛り上がり、なかなか地権者の理解を得るには困難な状況が続いていました。

平成7年5月、都から市に対し、JR中央線の高架に係る事業費負担が示されました。それは、総事業費が1千950億円で、JR東日本が420億円の負担で、都市側の負担は1千530億円。内訳は国庫補助金が765億円、都が535億円、沿線6市が230億円で沿線市の負担額の算出根拠は、線路延長距離の按分となっており、本市の負担額は99億円でした。(高架完成後の清算では、総額が1千711億円となり、小金井市の負担は94億5千800万円でした)。

東小金井駅北口区画整理事業の手続が進んだことにより、不即不離の関係にある中央線の高架事業も着々と進み、都は、武蔵野、小金井と国立の3市域での仮線路用地の取得も進めてきました。

市が区画整理事業を実施するには「東小金井駅北口土地区画整理事業施工規定を定める条例」を市議会で議決する必要があります。反対運動が続く中で、この必須である条例の制定が極めて困難となりました。

(つづく)