走り続けた16年(210)

新庁舎問題について

昨年末は新型コロナウイルス感染拡大が収まりつつあったのが、「オミクロン株」の急激な感染拡大により、第6波に入りました。オミクロン株はデルタ株と比べて重症化のリスクが少ないと言われていますが、その感染力は非常に強く、すでに感染者の80%以上がオミクロン株と発表されています。国も自治体も3回目のワクチン接種に全力を注ぐとともに、私たちも感染拡大防止に努めなければなりません。新型コロナウイルスの市民生活や市財政への影響も大きく、一日も早い収束を願うものです。

さて、本市最重要課題である庁舎建設問題に、昨年12月定例会で大きな動きがありました。それは、西岡市長から、庁舎建設の建築確認申請手続きは行わず、建設に必要な予算は3月の定例会には上程しない。改めて予算提出ができるよう検討する時間を頂きたい、と庁舎建設の延期が表明されたことです。

これは、11月16日に開かれた市議会全員協議会に示された令和3年度から7年度までの「中期財政計画(案)」で、令和2年度の基金(市の預金)総額98億円が令和7年度には13億円まで減少する、という内容で、当然、議員からは、市民生活への影響を危惧する発言が出されました。しかし、市長は「影響が出ないように努める」と具体策を示すことなく予定通り3月定例会に庁舎建設予算を提案する考えを示しました。これに対し、行政のチェック機関である市議会16議員が「市民と議会の理解を得るまでの間、庁舎等建設に係る建築確認申請は行わないこと」とする内容の申し入れをしました。この申し入れに対応したのが前記の市長発言となったものです。

庁舎建設による市財政への逼迫は当然起こります。市長が市民生活に影響を与えないように努めるとしても、新たな福祉施策や市の独自策、事業充実のための予算の横だし上乗せには自主財源を必要とするからです。

新庁舎建設に関して全ての議員が賛意を示し、市民の多くも望んでいるのに何故、スムーズな展開にならないのか。それは、ボタンのかけ違いにあると思われます。西岡市長はその選挙戦で「(市庁舎、福祉会館、図書館等)6施設の複合化は67億円で新たな市民負担は無い」との選挙公約で当選しました。就任後「6施設複合化は直近の民意であり何としても果したい」との発言でスタートしましたが、数か月後、新たな計画に「これは、私の揺るぎない決断だ」となり、また数か月後「ゼロベースで議会や市民と協議したい」と選挙公約は白紙撤回。その6施設で67億円も現在は庁舎、福祉会館の総事業費は123億円となっているのです。

西岡市長の市長選挙の公約から今日までの発言などの変遷を辿ってみると、あまりに前のめりで、既成事実を積み上げれば、議会は反対できない、との打算が感じられます。

この『検討』にどの程度の期間を要するか分かりませんが、「検討した結果、現計画を進めることが財政的にも日程的にもベストだ」との結論とするならば、市民も議会も納得できる論拠を示さなければなりません。

12月22日の定例会最終日、「新庁舎及び(仮称)新福祉会館建設に関して、西岡市長に誠実な対応を求める決議」が賛成16反対6で可決されました。

(つづく)