走り続けた16年(233)

「今、市政で何が」西岡市長辞職②

西岡真一郎市長が令和4年10月14日、任期を1年2か月ほど残して辞職しました。

辞職の理由は、9月議会に、市立保育園2園を段階的に縮小した後、廃園にする内容の保育園条例の改正を提案しました。これが厚生文教委員会(以下、厚文)で審査されていましたが議決に至らず、専門家を招いて公聴会を開くため継続審査となりました。これに対し西岡市長は9月29日地方自治法に基づき「議会が議決しない」ことを理由に、議会の議決を経ず専決処分しました。専決処分した場合、市長は直近の議会においてこれを報告し承認を求めなければならないことから西岡市長は10月7日の本会議で承認を求めたが、賛成は僅か2人で20人の議員が反対し不承認となりました。不承認となっても先決した改正条例の効力に影響はないが「市長は必要な措置を講ずる」との定めがあり、西岡市長はその対応策が示せず「辞職を選択」したのです。市議会は同日、14日付けの辞職に全会一致で同意しました。

西岡市長は辞職に当たって「小金井市の持続可能な未来と子どもたちのために苦汁の決断をした」と発言していますが、果たしてそうなのでしょうか。

この一連の流れが不可解です。厚文で4対3で継続審査が決定したのはやむを得ないとしても、この継続の決定を本会議で全会一致で認めたことです。もし、本会議で継続審査に「反対」との発言が出たら、議長は「反対がありますので起立採決を行います」となり議会では廃園に賛成する議員が多数なので、継続審査にはならなかったと思います。その後厚文に差し戻し審査を継続し、日時を付して厚文で決着させる動議を提出するのです。厚文での採決では条例は否決されるが、本会議で逆転可決できるのです。これを何故しなかったのか。

西岡市長においては議会の継続議決を尊重し、残り任期の1年2か月、時間をかけて目的を果たすべきです。また、圧倒的多数の議員が不承認とした案件は一旦元に戻すことも考えるべきで、それが「小金井の持続可能な未来と子どもたちのため」になるのです。諸施策に行き詰まり、混乱させて放り出すのは責任放棄です。

西岡市長の辞職で、次の市長は自らの考えとは関係なく20人の議員の反対で不承認となったが、効力の残る廃園問題に取り組まなければならないのです。

この間、市長の提案で議会と行政で建設可能な成案を見いだすため「庁舎等建設に関する協議会」を設置し、まとめの段階に来たが市長辞職でどうなるか。また、緊急を要する市立第一小学校の建て替えや武蔵小金井駅北口の整備などは切迫しています。少なくとも西岡市長は専決処分を取り消すなど、直面する保育問題だけは解決すべきでした。後に大きな混乱を残し、引き際の美学にはほど遠いものになりました。

本年3月議会で、市長の退任を求める声が出始め、6月は不信任案提出の動きもありました。そして、9月議会でも再度その動きはありましたが、3分の2の出席で4分の3の議員の賛成には届かなかったと思われます。辞めなければならない理由はないのです。

市長職は孤独で辛い事も多いが、市と市民の喜びを糧に、泥臭くとも粘り強く諦めず頑張るものなのです。

(つづく)