走り続けた16年(218)

市長任期のスタートに当って

統一地方選挙で当選した市長の任期は一般的には5月1日からですが、小金井市においては第4、第5代市長が任期途中で辞職したことから、大久保慎七市長の任期は平成11年4月25日までであり、市長選挙の当選が確定して1時間も経たない内に、私は市長の任期に入りました。

同時に5選を果たした土屋正忠武蔵野市長の選挙事務所から明け方近くに自宅に帰り、新聞に目を通し、テレビを見て、慌てて職員向け就任の挨拶文に手をつけました。

午前10時からの選挙管理委員会の当選証書授与式に出席するため、ひとり歩いて第二庁舎へ。当選証書を手に大勢の市民や職員が迎える本庁舎へ。支援してくれた市民や議員、それに職員の出迎えを受け、玄関前で決意表明や花束が贈られるなど型通りのセレモニーの後、皆さんに見送られ市長室へ。

早速、理事者と部長職による第一回の庁議を開く。続けて、第一会議室で管理職を集めて就任の挨拶は市役所全体に流されました。

それは「職員との対話を重視し信頼関係をもって、この危機的状況の財政再建、遅れている中央線の高架化や駅周辺の整備、そして、介護保険の円滑な導入を皆で力を合わせて乗り越えていきたい。職員の皆さんは民間企業の厳しさを認識し、目標を持って仕事に取り組んでいただきたい。仕事はミスを恐れず、今までの倍以上の意欲をもって積極的に行動してほしい。そこで起こった責任は市長である私が取ります、お互いに力を合わせて頑張りましょう」これが私の職員に向けた最初の挨拶でした。

早速、担当職員との日程調整です。「明後日の28日の午後、東京都の行政部長が是非お会いしたいので2時間程時間を取ってほしいとのことですが」とのこと。就任して3日目に都の市区町村を所管するトップの職員が何の目的で来るのか。

そして、28日午後2時、行政部長松澤敏夫氏、地方課長松本義憲氏等6〜7名の都職員が来庁し、話し合いが始まりました。

【今、市政で何が】

令和4年3月定例会の16日に開かれた特別委員会で西岡真一郎市長から、庁舎等複合施設について重大な発言がありました。

まず、「第1回定例会の議会日程の変更までも余儀なくする結果となり、議会運営への混乱をもたらしたことを深くお詫び申し上げます。そして何よりも市政運営への不安を与えてしまった原因は全て私自身にあります。誠に申し訳ございませんでした」とし、「庁舎等建設は、市議会の皆様と市民の皆様と行政が一体となって一緒に作り上げていくものです」とのことです。しかし、この文言は6年前の平成28年10月、「庁舎建設をゼロベースで検討を」の時に使われたものです。さらに「市議会や市民の多様な意見を踏まえて、設計や建設の時期を大胆に見直すために、市議会の皆さんと協議の場を設けます」とし、「市議会と合意した場合も市長ひとりの成果としないことを明言する」とのことです。市民のために成果を挙げるのは当然であって、自分の手柄にはしないとの趣旨のこの発言に違和感を覚えます。

また、市長の庁舎建設の方針変更は非常に重要であり、市民に隠さず「市報」で公にするのが市長の責務ではないでしょうか。

(つづく)

走り続けた16年(208)

謹賀新年

新年明けましておめでとうございます。希望に満ちた新春を健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。

昨年のご厚誼に感謝するとともに、本年も本欄のご愛読を宜しくお願いします。

昨年は新型コロナウイルス感染拡大に世界中が震撼させられた一年でした。長く続いてきた平凡な日常生活がいかに大切なのかを思い知らされています。

外国では感染拡大が続く中、わが国のデルタ株による第5波が急速に収まったのはなぜなのか。これにより、日常生活も商業活動も次第に復活しつつありますが、新たに変異株「オミクロン株」の発生で再び緊張感が高まっています。

新年は、多くの人々と接する機会が多く、感染防止の基本であるうがい手洗いマスクの着用を励行し、平穏な1年のスタートになることを願います。

願わくは、発展途上国や紛争国、そして難民キャンプ等、環境に恵まれない世界の隅々までワクチンや治療薬等が行き届くよう、世界中が協力し地球規模での対応が必要です。

1年遅れて開催された2020東京オリンピック・パラリンピックは、不安が充満する世界に夢と希望と感動を与えました。パラリンピックではハンディキャップのある人々の活躍が世界中の人々に勇気を与えました。

オリパラによる観光客の誘致や、そのレガシーが期待されましたが、異例の無観客開催となり、国も、各自治体も感染拡大防止で精一杯だったようです。

また、地球温暖化が原因なのか、地球規模で異常気象による想定外の自然災害が世界各地で発生しています。これも、私たちの利便性を求める生活が地球に過剰な負荷を掛けたことが原因と思われます。私たちの生活を見直すときにあるのではないでしょうか。

小金井市においては本年も市庁舎等の建設が大きな課題になるものと思われます。

西岡市長就任直後から公約の庁舎問題は変遷の繰り返しです。

市長は12月17日の市議会特別委員会で「これまで積み上げてきた新庁舎や(仮称)福祉会館の抜本的な見直しは、大きく手戻りすることになる事から避けるべきと考えていますが、議会のご理解を得ながら進めて行かなければならない事業であることから、建築確認申請手続きはまだ行わず、建設工事に係る予算は第1回定例会には上程しない事として、あらためて、予算提出ができるよう検討する時間を頂きたいと存じます。今後の予定につきましては、適切な時期にお示しいたします」と庁舎建設の延期を表明しました。

市長は「抜本的な見直しは、大きく手戻りになるから避けるべきと考えています」としていますが、これまで何度も見直すべき時に耳を貸さず、延ばしてきたその責任は重大です。コロナ禍において、大幅なコストダウンは当然で、業者を叩いて泣かすことや質を落とすことにはならずそれには設計の見直しが必要です。設計に手つけずにコストダウンするのは無理です。

たとえ議会の要望があったにしても、決断したらそれは市長の責任であり、責任転嫁は許されません。それだけの権限が市長には与えられているのです。

庁舎建設の延期は何時までで、その間、何を検討しようとしているのか、透明性のある市政運営でなければなりません。多くの市民の声を聞き、夢のある庁舎建設を期待します。

(つづく)

走り続けた16年(202)

「今、市政で何が」

9月の市議会定例会で、令和2年度の一般会計決算が審査されました。この結果、認定に賛成の議員は4人、反対議員が18人で不認定になりました。

決算審査は、その年度の行政が適正に執行されたか否かが問われるもので、4年連続しての不認定は異常な状況であり、過去に例のないことです。

昨年、世界中を震撼させ、今も続くコロナ禍が市民生活に大きな影響を与えています。国も都も支援策を打ち出しますが、市の対応策は必ずしも十分といえる状況にはありません。令和2年度の一般会計でのコロナ禍における市の独自策は、コロナ禍で中止になったイベント等の不用額、6千600万円をそのまま回したに過ぎないのではないかと議会で指摘される程度です。

都市間競争が叫ばれる中、隣接の武蔵野市は当該の令和2年度で約7億6千万円、本年度はくらし地域応援券の発行などで23億円が予定されており、この2年間で30億円が「市民の暮らしとまちの経済を守り、まちの活力につなげるための支援策」として予算化されています。西岡市長の唱える「住んで良かったと言われる小金井市」とするには、今こそ社会的弱者といわれ、声の出せない人々への独自策としての予算措置が必要です。

さらに、不認定の理由の一つは新庁舎建設問題にあります。西岡市長は市長選挙で「庁舎、福祉会館、図書館など6施設復号化は67億円で、新たな市民負担はない」と公約して当選しました。5か月後に「4施設に変更は私のゆるぎない方針」と断言。それが、5か月後には「ゼロベースで見直す」に変わりました。市民の期待を集めた超目玉公約の図書館は消えてしまいました。「67億円は建設費だけである」としていますが、図書館を除いても84億4千万円であり、設計等を含めた総事業費は112億円に膨れ上がり、その74%は借金で「新たな市民負担はない」と到底いえる状況ではありません。もし、図書館も入れれば選挙公約を100億円以上もオーバーすると思われます。選挙公約とはいったい何なのか。

市が基本設計の予算を提案できないことから、平成30年9月、市議会6会派12議員による非公式の提言があり市長はこの提言を参考に調整したものを、基本設計の選定に示しました。この整備方針を市長や与党系議員は市長案ではないと主張しますが、政策決定は市長の専権であり、自らの政策意思に反する内容ならば、それは拒否することになります。議員や市民の提言を参考にしても、決定すればそれが市長案なのです。市長に付与された権限と責任とはそういうものなのです。

議会は昨年3月の定例会から毎定例会に、コロナ禍での市民生活優先と、財政見通しを立てての庁舎建設を何度も求めています。しかし、結局議会の指摘に耳を貸すことなく、9月議会でも最終本会議で再度、新型コロナ感染拡大が市政に与える影響を考慮し新庁舎等建設の見直しを求める決議が賛成16、反対6で可決されました。

庁舎建設に反対の議員は一人もいません。この空前のコロナ禍による税収不足や建築資材の値上がり、市民生活など懸念されます。市長は一度立ち止まり、市民や議会の声に耳を傾けることが、結果的には早期の竣工になると思われます。

(つづく)

走り続けた16年(101)

謹賀新年

新年明けましておめでとうございます。

希望に満ちた新春をご家族お揃いで健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。

昨年は、多くの自然災害により大きな被害が発生しました。平穏な年であるとともに、自分たちのまちは自分たちで守るという心構えも必要と考えます。

本年は、平成の元号が4月で終り、5月から新元号に変わる歴史の大転換期になります。平成の時代を振り返って、次の時代に備えてまいりたいと思っています。

小金井市においては本年も庁舎建設の課題がクローズアップされることになります。

小金井市のシンボルとなる市庁舎は、竣工後40〜50年は使われることになります。その期間に十分対応できることを見通した庁舎でなければなりません。

そのためには、社会環境の変化に即応できるフレキシブルな配置計画であることです。また、雨水や自然再生エネルギー等の最大限の活用も必要です。

さらに私は、景観に特に力を入れるべきだと思っています。それは、多摩地域に住む多くの多摩都民が、朝晩のラッシュ時は2分間隔で満員の上下線の走るJR中央線で毎日小金井市を通過します。その車窓からは新庁舎等の全景を一望できるのです。小金井市の魅力発信、シティプロモーションの絶好のチャンスです。小金井市のイメージアップに繋がる景観にしなければなりません。

まず、緑と水を標榜する小金井市です。これをどの様に表現するかです。滝を作るか、噴水か、小川か、池なのか、目に見える形で水を循環させることも考えられます。

また、歴史的にも、名勝小金井(さくら)の小金井市です。広場や駐車場、進入路などに種々のさくらを植え一年中何んらかのさくらが咲いていて、中央線の乗客や市民の目を楽しませることです。電車の窓から季節の移り変わりが楽しめる、そんな夢のある庁舎であることを望みます。

自由広場だけでなく、屋上にも天然芝を植えて屋上緑化を図る必要もあります。現在でも庁舎建設予定地は乳幼児の遊び場としてまた、保育園の散歩コースとしても活用されていますが、完成後は天然芝の屋上も開放して子どもたちの遊び場にするのです。斜め下を通る電車を見て喜ぶ姿が想像されます。子どもたちに、思い出と市に愛着を持ってもらうことがシティプロモーションの原点です。

昔、庁舎建設予定地の西側にあった、蛇の目ミシン工業(株)小金井工場ビルの4階の塔屋に直径数メートルの大時計があり、夜間でも車窓や近隣からも時間が確認でき、大勢の人々に活用されてきた経過があります。

日本の標準時は明石市で決めていると思われていますが、実は、小金井市貫井北町4丁目にある国立研究開発法人・情報通信研究機構(NICT)の原子時計が日本の標準時刻を決めているのです。

その小金井市は「日本の『とき』標準時刻が生れるまち」として、武蔵小金井駅の自由通路やNICTの壁面にあるデジタル時計を新庁舎の壁面に大型の電子時計を設置し、日本の標準時を新庁舎から発信したいものです。

(つづく)