走り続けた16年(76)

「今、市政で何が」

平成30年第1回定例会は2月21日に開会し、会期を2回延長し3月28日に閉会しました。定例会は年に4回開かれますが、第1回の定例会は、年間の一般会計予算等が審議されることから特に重要な議会とされます。

提案された一般会計予算は440億5千800万円で、予算特別委員会(予特)で審議され、賛成7、反対15で否決されました。予特は議長を除く全議員で審議されることから、そのままの形で本会議で否決され暫定予算になるのが流れですが、本予算は市民生活への影響等を考慮した自民・信頼、公明、情報公開の各会派が予算の組替え動議を提案しました。

本予算は、政策的に大きく対立する内容ではなく、問われたのは頻繁に表面化する西岡市長の稚拙な行政執行の問題による市政運営の在り方であり、市長のリーダーシップの欠如が大きな議論になりました。

それは、①市政最重要課題である市庁舎等建設のための基本計画策定の予算を計上しない無責任さ。②社会福祉委員の報酬条例を認識しながら、定められた報酬を支払わず、水面下で債権放棄の同意を求めることは、行政の事務執行としては容認しがたい。③「障害のある人もない人も共に学び共に生きる社会を目指す小金井条例」は、自立支援協議会等で2〜3年の長い間検討されてきたが、市議会への提案は議会が開催され、担当委員会の直前であり、新しい基本条例でありながら十分な時間の確保もできず、4月1日の施行が不能になった。④職員のボーナス引上げの否決の要因は、西岡市長就任以来、市民負担は増やすが職員削減等は進まず人件費を増加させるなど行革が後退している。⑤高齢者や障がい者を排除する形での新福祉会館機能に、議会等からの強い要望でシルバー人材センター、悠友クラブ連合会事務局、福祉共同作業所等を復活させることになったことなどが議論となりました。

組替え動議の内容は予算の総額は替えず、歳出増は社会福祉委員報酬の1項目、歳出減は「小金井グランドデザイン策定に要する経費」527万7千円など4項目と軽微なものでした。組替え動議には、予特で賛成した与党や与党的立場の議員もこれに同調するという本来は考えにくい展開で、賛成14、反対8で可決されました。
可決された組替え動議に、市長が6月議会で対応することを約したことから本予算は、本会議において自民・信頼、公明等が賛成に回り賛成16、反対6で可決となりました。

なお「特別職の報酬に関し条例遵守を怠った西岡市長に対する問責決議」が提案され賛成17反対5で可決となりました。

西岡市長には、自らの責任で具体的で明確な政策の方向を定め、職員の努力が徒労に終わらず、業績の上ることを望むものです。

本定例会は、市長のリーダーシップ、行政執行能力が厳しく問われた議会でした。

(つづく)

走り続けた16年(75)

西岡市政、折り返し点を経て⑥

西岡真一郎市長が市長に就任し約2年4か月が過ぎ、その選挙公約を見直してみます。

まず、「蛇の目跡地に市庁舎、福祉会館、そして、図書館等6施設を集約して改修費&維持管理費を削減し、新たな市民サービスの財源にします。」と公約しました。さらに、「それには新たな市民負担はない」というものでした。しかし、選挙における市民との約束は1年も経たないうちに破棄され、雲散霧消となりました。

また、本年8月末に契約期限を迎える第二庁舎の貸借について、今後の契約期間を何年とするかも課題です。それによっては、平成26年9月に所有者と市の間で第二庁舎の売買が合意されていたことから、その取得費とリース料とが比較されることになるからです。

西岡市長は「第二庁舎は新庁舎竣工後は所有者に返還する」との考えを強く示しています。これでは、これ以外の選択肢は考えられず、市益を第一に考えた時、状況の変化等に適切に対応するため、前置きとして「基本的には」とし、柔軟に対応できる状況にしておくべきでした。そのため、第二庁舎は民間不動産業者間で転売されても市は蚊帳の外に置かれてしまうのです。

公約にある「真の行財政改革なくして未来はつくれない」と言うが「真の行財政改革」とは何なのか。また、公約にある税収増、経費削減、不要事業廃止で40億円規模の財源確保、の進捗は。市民力結集の成果は。子育て環境日本一や新しい自治体経営に挑むなどと唱えたことに期待する市民に対し、スローガン政治に陥らないためにも、自ら公約の達成率等、その評価を中間報告することを希望するものです。

「今、市政で何が」

平成30年第1回定例会は「特別職(社会福祉委員)の報酬に関し条例遵守を怠った西岡市長に対する問責決議」を賛成17反対5で可決し、閉会しました。

社会福祉委員の報酬について、平成5年の条例改正時に誤りがあったことが昨年5月に事実が判明したが、条例に規定された金額を支払うべきとの意見を封印し、事実を囲い込み公にするのが9か月後とは異常であり、到底容認できるものではありません。

私は、平成5年の条例改正には議員として、平成11年からは市長としての私の責任は回避しませんが、行政執行の手法は相容れるものではありません。

この問題は、今後市議会で詳しく検証されることになります。

また、福祉会館跡地に設定されていた地上権の解除に伴う清算金に対して、市の対応の稚拙さから住民訴訟に発展しています。

さらに「障害のある人もない人も共に学び共に生きる社会を目指す小金井市条例」の提案姿勢です。長い準備期間があったにもかかわらず、議会に送付されたのは、議会開会後、担当委員会開催の直前であり、議会の反発を招きました。

この様に、行政執行上の不祥事が頻発することは問題であり、それが、西岡市長への問責決議になりました。

(つづく)

走り続けた16年(74)

西岡市政、折り返し点を経て⑤

西岡真一郎市長が誕生し最初の議会は、平成28年1月23日の臨時会で、1日だけの予定で開かれました。

提案された補正予算は学童保育所運営に要する経費です。すでに平成27年4月からさわらび学童保育所の運営は民間に委託されていました。しかし、事業者が新年度からの学童保育所運営を辞退したことから、新たに決定した事業者へ円滑に事業を継続させるための支援委託料を補正するものでした。

提案された補正予算に対し、7人の議員から資料請求があり、その資料から質疑の困難さが想定され会期を1日延長。さらに、11日間会期を延長し、2月2日に開かれた本会議で、西岡市長は「(篠原ひろし)議長から、市議会における状況等を勘案し、相応の対応を求める旨の進言を頂戴いたしました。私は市長として、各種業務の民間委託については推進すべきと考えています。しかし、市議会の状況を踏まえると、平成28年4月からさわらび学童保育業務の民間委託での継続実施は困難であり、円滑な業務運営が難しいことから、引き続き学童保育関係者のさらなる理解を得ながら、平成29年4月に改めて民間委託を実施するとの判断に至りました。このため、議長からの進言を重く受け止め、本議案について撤回させていただきますので、よろいくお取り計らいくださいますようお願いいたします。」という発言となり、多くの職員が時間を掛け、苦労して民間委託したさわらび学童保育所は一瞬にして直営に舞い戻ることになりました。議員の多くは、さわらび学童保育所の民間委託の継続に反対ではなく、丁寧な議会運営が必要だったのです。直営に戻すことにより、4月から任期付き職員2名、5月には正規職員2名の学童保育育成員を新たに採用することになり、職員数を増やすことになりました。

「真の行財政改革」をスローガンとして、「行革が進んでいない」と、これまでの市政を厳しく批判してきた西岡市長のスタートであるだけに、非常に残念な思いでした。しかし、29年は無理だったが、30年度からは新たな事業者により委託が復活できるのは良かったのですが、この2年間の職員の苦労は何だったのかです。また西岡市長にとって最初の定例会になる平成28年第1回定例会が2月22日に開会され、3月29日に閉会しました。

一般会計予算は、歳入歳出それぞれ402億400万円が提案され、予算審査での主な質疑は①市長の公約である市庁舎や福祉会館、図書館等の6施設複合化実現の可能性。②職員給与引上げに伴い、市の人件費と財政状況。③東京都の都道の優先整備路線となっている「はけ」を横切る2路線の整備に関する市長の考え方、等が問われ、3月28日の本会議において賛成2反対19で否決されました。

一般会計予算が否決されたことから、4・5月の2か月間は暫定予算となりました。

(つづく)