走り続けた16年(184)

市議選の結果について

令和3年の本年は小金井市にとって選挙の年となり、3月に市議選、7月は都議選、そして、衆議院の任期は10月21日までであり、それまでに、解散か任期満了による総選挙が行われることになります。そのため、各級選挙の立候補予定者による二連のポスターが目立っています。

今年に執行される選挙は、新型コロナウイルスの感染拡大により例年と異なる形の選挙になっています。選挙と握手はつきものですが、コロナ禍で握手もできず、さらに、顔と名前を覚えてもらい、政策を理解してもらうのが選挙ですがマスクで顔を覆っての選挙、支持者訪問もはばかられる状況であり、支援者を集めての集会も開きにくい状況です。

その様な中で行われたのが小金井市議会議員選挙でした。

3月21日に執行された選挙には、24人の定数に36人が立候補するという大混戦になりました。内訳は現職が21人、元職が3人、新人が12人で、結果は現職が20人、元職1人、新人が3人の当選となりました。元職の1人は先の市長選出馬で市議を辞職した森戸洋子さんの復帰で、新人は、引退した共産党と生活者ネットの後継者2人と古畑俊男さんです。新しい風とすれば実質古畑さん1人で議会構成等に大きな変化のない選挙結果でした。

新しい議会の会派数は11で、最大会派が5人の自民党・信頼、次が4人のみらいと共産党、3人が公明党、2人がこがねいをおもしろくする会。残りの6議員が1人での会派になります。

落選は現職の篠原ひろしさんと元職2人、新人9人でした。その結果、西岡市長の与党は1減の4人となり、さらに、与党から議長が選出されたことで、厳しい議会運営になることが想定されます。

一方、野党は自民・信頼、公明、共産の12人となります。また、いわゆる「ゆ党」と言われる議員が8人になります。

選挙で市議を9期務め、議長経験のある最長老の篠原さんの落選には驚きました。

西岡市長は市長選挙の選挙公報で、私が市長を務めた16年間、行財政改革が進まなかったと厳しい批判をしました。しかし、「行革一筋」を謳い文句にする篠原さんとは力を合わせて行革を進めた結果、職員数は915人が671人と244人の減員、人件費は約100億円が60億円となり40億円の減額、ワースト日本一と言われ続けた人件費比率も32%から15%と半分以下に下がり、永年の悲願であった他市並みになったのです。

これは、篠原さんをはじめ志ある議員と、職員の身を切る協力があって達成できたのです。その篠原さんとの30年間はお互いに市政に関わる者として小金井市の財政再建に取り組み、大きな成果を上げたとの思いであり、篠原さんには感謝してます。それを、西岡市長に理解してもらえないのは残念です。

私たちの生活に最も身近な市議選の投票率が40・18%で、過去最低の前回の39・54%は上回ったものの、当日の有権者が10万1千61人ですので、投票した人が4万606人に対し、6万455人の有権者が棄権したことなのです。

投票率の向上のためには、期日前投票に第二庁舎の6階でなく、宮地楽器ホールを使うなど工夫が必要です。

(つづく)

走り続けた16年(47)

苦闘する庁舎問題⑱

議会を代表する篠原ひろし議長の進言により、第二庁舎の取得を断念しました。

リース庁舎の解消を常に主張する議員が、取得に反対した真意が分かりません。リース庁舎を解消するには新庁舎を建設するか第二庁舎を買い取るしか方法はありません。

本来、新庁舎を建設すべきであり、それで計画を進めてきましたが、平成26年度に入り東日本大震災による被災地の復旧・復興事業や東京オリンピック・パラリンピックによる建設ラッシュ等により、建設費が異常に高騰し、55億円の計画が70億円を超えることが試算されました。55億円の捻出も困難な状況であり、無理すれば小金井市の財政を再び危機に晒(さら)すことになると考えました。

昭和50年前後の革新市政時代の大量職員採用による全国ワースト1位の人件費問題の解決には約35年の年月を要しました。

また、平成4年度に、なけなしの基金40億円を頭金に、坪単価300万円の蛇の目工場跡地を120億円で購入し、そのわずか数年後には、誰も予測できなかったバブル経済の崩壊で地価は大暴落となり、蛇の目工場跡地の資産価値は半減、一方、税収は激減し80億円の借金の返済に苦闘し、私の16年の任期の過半は借金の返済に追われ、綱渡りの財政運営を強いられました。

この蛇の目工場跡地の取得は、自民党から共産党まで私も含め全議員が異論もなく賛成したのです。庁舎問題に関しては、議会は熱に浮かされたようで問題があっても異議を挟みにくい状況があり、それが私のトラウマになっていました。

平成26年第3回(9月)定例会で、私は新庁舎建設事業の凍結と第二庁舎を18億6千万円で10月末での取得を提案しました。

しかし、残念ながら議会の反対で断念しました。それが、皮肉にも丁度2年後の平成28年10月末、民間不動産業者と第二庁舎所有者の間で売買が成立し、その金額は、小金井市と合意した金額を上回ると聞いています。

また、第二庁舎の所有者は変わりましたが、リース庁舎の契約を継続しなければなりませんでした。そのリース料は年間2億2千3百万円で月額1千8百万円、1日当たり、60万円になります。

賃料については信託銀行との交渉がまとまらず、市が議会の議決を得て裁判所に調停を申し立て、第三者機関である裁判所が公平、中立の立場で不動産鑑定を踏まえて下した金額ということです。

取得を断念してから、この平成29年6月まで約2年8か月が経過しました。その間、支払ったリース料は約6億円です。

西岡真一郎市長の計画では、新庁舎の完成は平成34年3月で、5月に引っ越して業務の開始となり、その後、約2億円をかけて第二庁舎の原状回復をし、同年の8月に返還するようです。とすれば、今後約4年10か月で約12億円の支払いとなり、18・6億円で買えたものを、これまでの6億円と合わせれば、約8年間で18億円のリース料を支払うことになります。

政治に「たら・れば」はありませんが、あの時「買っといたら」と今となっても思わずにはいられません。

(つづく)