走り続けた16年(106)

これでいいのか小金井市政④

平成5年9月議会で議決された条例に反して、社会福祉委員の報酬が24年間、減額され誤支給されていたことが平成29年5月16日に発覚しました。平成30年第1回定例会において、その過ちを西岡真一郎市長は9か月間も隠し続ける中で、是正するための一連の事務手続きが法律、条例、規則に反していたと市議会が判断し、法に基づく監査委員への監査請求を議決しました。その監査結果が平成30年5月31日、市議会に通知されました。

また、法に基づく事務検査を議決している市議会は、この監査結果を参考に、総務企画委員会において7回の検査を行いました。平成30年12月その事務検査の結果報告書が市議会で全会一致で可決されました。

その内容は、1、市長は事件発覚後も、顧問弁護士等の指摘に反してまで事務執行を行うことの理由がなく、地方自治法、地方公務員法に反するものであり、地方公共団体の統括代表権及び管理執行権限を有するものとして、到底、許される行為ではない。2、虚偽公文書作成・同行使罪については、監査報告では罪の構成要件に該当する可能性はあるかもしれないが、犯罪の成否を決定するのは刑事裁判所の専権事項であるとして、その成否の明言を避けているが、それを受けて市議会も、罪の構成要件に該当する可能性があった、と指摘するに止めています。3、市長は本件の是正策として社会福祉委員に債権放棄を依頼することとしたが、この一連の事務手続きにおいて起案文書が存在しない。これは明らかに、事業の処理は文書による、とする文書管理規程に反するものである。4、社会福祉委員に対し、債権放棄の文書を提出させた責任について監査では、市長の裁量の範囲内であって違法・不当とは言えないとしているが、市議会は、市の施策として適当とは言えず不適切な事務執行であったと言わざるを得ない、としています。5、監査結果は、発覚後、直ちに市議会及び監査委員にも報告して、対応策を共に検討すべきだったとし、市議会も同様の見解を示しています。

この問題は隠さず公にすれば、条例の改正案提出の前段階から発覚するまでの間の私を含む歴代市長、全市議会議員、全監査委員及び全関係職員の責任で済んだものを、隠したため問題を大きくしてしまいました。

市議会の事務検査の最後で、市長をはじめ幹部職員に法的視点が欠如しているのではないか、とし、研修の必要性を指摘しているが、今回問題になった法律や条例等は地方公務員にとっての〝いろは〟であり、これを理解していない幹部職員は一人もいないと言えます。それなら何故この様な事案が起こったのか、それは、市長が情報の隠ぺいを計るという判断の誤りに尽きると思われます。

昨今、国の行政への信頼が大きく揺らいでいます。それが私たちにとって最も身近な市政においても情報が操作されていたことに憤りを感じます。

回の事案の端緒は稀有な出来事ですが、この一連の事務処理は小金井市政に大きな汚点を残したと言わざるを得ません。

(つづく)

走り続けた16年(105)

これでいいのか小金井市政③

平成5年9月市議会で議決された条例に反して、社会福祉委員の報酬が24年間、減額され誤支給されていたことが平成29年5月16日に発覚しました。しかし、西岡真一郎市長はこれを公表せず9か月間隠し続け、誤支給であることを承知で行政を執行してきました。これに市議会は、平成30年第1回定例会の質疑を通して、西岡市長の事務手続き等について、法や規定に反するものと判断し、地方自治法の規定に基づく監査請求を全会一致で議決しました。

その理由の第1は、地方自治法に基づく給与条例主義に反することでした。また、市長は当面現行のまま支給すると指示したのです。この条例どおりに支給しない行為は地方公務員法第32条「職員の条例遵守義務に違背し、法令違反ではないか」と言うものです。

これに関し、監査委員は地方自治法の規定に反するし、また、地方公務員法に違背すると言わなければならない。この違法状況は、改正条例の成立による本件条例施行以後、実に四半世紀近くに渡って続いており、本件齟齬発覚後、その重大性に鑑み、直ちに解消すべきであったと思料する、としています。

その第2は、虚偽公文書作成・同行使の罪の疑いについてです。

新任の社会福祉委員への説明文書に、条例に1万1千円となっていることを認識しているにもかかわらず、1万円と記載した事実は、虚偽公文書作成・同行使の罪の構成要件に該当するかもしれないが、犯罪の成否を決定するのは、刑事裁判所の専権事項であるため、監査委員が意見を述べることは差し控える、としています。この、虚偽公文書作成・同行使の罪は刑事裁判所の専権事項とすることの判断に監査委員の苦衷を察するとともに、正確に把握するには、この行間を読むことなのかと思います。

その第3は、文書管理規程、事務決裁規定に反する行為について、です。市長は、平成30年1月18日に理事者協議で、社会福祉委員に債権放棄を依頼することを決断し、その事務手続きに入ったが、事務決裁文書が一切存在しないことが判明した。本来であれば最終的には市長が決裁しなければならない事項であると考えられるが、何故かその行為は行われていなかった。これは、文書管理規程、事務決裁規定に反する行為、というもので、これに対し、監査委員は全面的にこれを認め、このような行政事務の基本的手続きを怠った担当課の責任は、重大であると言わざるを得ない、としています。

社会福祉委員に債権放棄を依頼するに当たり、依頼文や説明会の文書につき、事務決裁文書を一切作成しなかったことは、事実の経過内容の重大性から判断するに、小金井市事務決裁規定及び小金井市文書管理規程に抵触すると判断する、としています。

本件は極めて稀有な問題ではあるが、迅速性を欠いた上、市長を始めとした関係課及び事務の基本的手続きを怠った担当課の責任は、極めて重い、と断じています。

市議会の事務検査は次号で報告します。

(つづく)

走り続けた16年(104)

これでいいのか小金井市政②

平成5年9月議会で議決された社会福祉委員への報酬は、改正条例案は提案する市長側も議決する市議会も、月額9千4百円を一万円に改正との認識の下で議決されました。しかし、条例本体には1万1千円と誤記されており、その誤記が正規のものとなるのです。

その後、毎年度の市議会の予算、決算、さらに監査委員の各種監査でも発見できず、24年間にわたり1万円の誤支給が続きました。

それが、平成29年5月16日、外部からの問い合わせで職員がこの過ちに気付きました。しかし、当局はこれを公にせず9か月間も隠し続けてきました。それは、原因の究明、再発の防止策に取組むため、としていますが、その説明には無理があります。なぜなら、誤支給を公にし、並行して調査を進めても何等不都合はないし、その方が調査が進展するのは明らかだからです。この9か月間の西岡真一郎市長の執った市政運営は信じられないものでした。

平成30年第1回(3月)市議会定例会の総務企画委員会及び予算特別委員会での誤支給問題の質疑を通して、西岡市長の事務手続き等について、市議会は法や規定に反するものと判断し、地方自治法の規定に基づき市議会は社会福祉委員への報酬誤支給に係る検査と、同法の規定に基づく監査請求を全会一致で議決したのです。

監査請求に至った理由の第1は、平成29年5月に総務部法務担当が顧問弁護士に問い合わせ、条例どおりに支払う義務があるとの回答を得て、担当からもその旨指摘したが、市長は当面現行のまま支給すると指示した。これは、地方自治法「報酬及び費用弁償の額並びにその支給方法は条例でこれを定めなければならない」との規定に反するし、また、規定額どおりに支払わない行為は地方公務員法に規定する職員の条例遵守義務に違背し、法令違反ではないか、と言うものです。

その2は、市長は誤支給が発覚した後も、新たに着任する社会福祉委員への説明にあたり、その報酬月額が条例と異なる1万円であることを記載した説明文書を作成させ、交付させた行為は虚偽公文書作成、偽造公文書行使等(刑法第156条・第158条)の罪に該当する恐れがある、とするものです。

その3、市長は、平成30年1月18日の理事者協議で、社会福祉委員に債権放棄を依頼することを確認し、その事務手続きに入ったが、事務決裁文書が一切存在しないことが判明した。本来であれば最終的には市長が決裁しなければならないと考えられるが、それが、その行為は行われていなかった。これは文書管理規定、事務決裁規定に反する行為というものです。

以上が、市議会からの監査請求の一部になりますが、市の管理職者がこれら法的な問題を失念していたとは到底考えられず、そこには大きな力が働いたと思わざるを得ません。

記録の残る起案文書の不作成や、誤支給問題で行政の最高意思決定機関である庁議を開かないのは、記録を残さない手法をとったとしか思えないのです。

監査委員からの監査結果等については次号で報告します。

(つづく)