走り続けた16年(190)

コロナ禍と新庁舎問題③

新型コロナウイルスの感染が続き、国内においても下げ止まりの傾向にあります。そのような中、切り札となるワクチン接種が加速化されています。

我が国の接種率が先進国の中で著しく低いのはワクチン接種のスタートが遅れたことに起因します。この遅れを取り戻すため国も地方自治体も全力で取り組み、日々、接種者数と接種率の向上が報道され、希望の光が見えてきました。心強い限りです。何より一層ワクチン接種の加速化が求められます。

私たちは現在、自由で何一つ不足のない豊かな生活を送っていますが、テレビは早朝から深夜に至るまでコロナ関連ニュースの放映が続き、そして、市内全域に向けての防災行政無線での感染防止の放送。飲食店が酒の販売停止や営業時間の短縮、国民は外出の自粛が求められるなど、あの戦争以来の異常事態ではないでしょうか。

コロナ禍を通して世界はひとつであり、自国だけで課題を解決できることではなく、世界が一つであることを思い知らされます。

さて、7月23日の東京オリンピック2020の開会式まで残り僅かになりました。本来であれば国を挙げてのお祭りにも関わらず、コロナ禍のため1年の延期となり、さらに、再延期や中止の声も大きくなっています。

私は、東京オリンピック、パラリンピックは安全を確保した上で無観客ででも開催すべきと考えます。それは、新型コロナウイルスにより打ちひしがれている時、世界中の子どもから高齢者まで、誰れもが夢と希望と感動を享受することで元気を取り戻す、歴史的な大会にするためです。

このコロナ禍により国も自治体も財政は大打撃を受けており、小金井市においても令和7年までの5年間で61億5千万円の歳入減が想定され、さらに、雇用の喪失や収入の減少による市民生活に与える影響も大きく、歳出の民生費の増加が必要とされます。

歴史的激変の今日、財政的裏付けも示さない中、コロナ禍以前の庁舎計画を見直すこともなく進めていくことには疑問を持たざるを得ません。

市は、昨年2月15日号の市報特集号で、新庁舎・(仮称)新福祉会館建設基本設計(案)が示され、その案に対し3月5日までの間、パブリックコメントを実施し、市民からの意見を求めました。出された主な意見は、広場の設置、福祉会館も庁舎同様、安全性の高い免震構造に。建設工事費のコストダウン。市のシンボルとなる大時計の設置等でしたが、市は、これらの要望に対応することはありませんでした。

6階建ての庁舎の北側に3階建ての福祉会館は、庁舎に食い込んだ複雑に「重ね合わせる」形になっています。これは、建設費もメンテナンス費も高額になり、防災、日照等を考えると設計者の遊びにしか見えません。

これらの諸課題を解消する専門家の市民案が提案され議会でも質疑されたようです。西岡市長には自らの案に拘泥されるのでなく、市民案と比較考量する必要があります。それは、市の意見募集に応じた案であり、市民要望を取り入れた形であることからも再考すべきです。今後50〜60年と使う『市民の市役所』です。このコロナ禍を契機に、一度立ち止まって見直す必要があると考えます。

(つづく)

走り続けた16年(189)

コロナ禍と新庁舎問題②

新型コロナウイルスの感染拡大がなかなか収まらない状況です。その中で、コロナ禍の切り札であるワクチン接種が本格化しています。ついに、東京、大阪で大規模接種会場は自衛隊の出動となりました。また、企業や大学の集団接種も始まり現下の異常な状況を収束させるには、可能なことは迷わず実行していくことが肝要です。

小金井市のワクチン接種が順調に進んでいることがテレビ等で報じられています。医師会・医療機関と行政との連携が上手くいっていることで、令和3年6月15日現在、高齢者の接種率は70%で多摩地域ではトップです。

診療所等の数は武蔵野市や三鷹市と人口割りで比較しても少ないにもかかわらず接種率が高いのは、医師会や医療関係者、そして、行政の頑張りにあるものと思われます。

さらに、武蔵小金井駅北口の現在閉鎖中の旧西友ストアの建物の2階と3階を使って大規模接種会場とし、7月、8月にかけてモデルナ社のワクチン接種が決定し、小金井市のワクチン接種は一層進むことになります。

私も、かかりつけの医師により1回目の接種を済ませました。全く副作用もなく6月28日の2回目の接種が待たれます。

さて、5月1日号の市報に「新庁舎・(仮称)新福祉会館建設に係る浸水対策について」の記事が掲載されました。内容は、「庁舎建設予定ちの敷地全体のユニバーサルデザイン等を考慮した平常時の使用方法および震災・豪雨時における防災庁舎としての機能確保等の検討に加え、工事費、計画期間および近年の他市における新庁舎の浸水対策等を総合的に判断した結果、建物を浸水から守る地盤レベルに見直すことといたしました」とあり、計画期間が7か月延伸される、と記述されています。

この事業変更にはいくつかの問題があります。そのひとつは、浸水予想区域図は、令和元年6月に都から通知されたもので「新庁舎建設エリアの建物部分、駐車場、広場の部分が1メートルの浸水深となる」とのことです。4か月後の10月、市と設計業者とCM(コンストラクション・マネージメント)事業者により、この情報は共有されるが、具体的に対応されることもなく、令和2年2月、基本設計が完成し、さらに、6月には実施設計に入ったのです。

CMとは、本事業を包括的に管理運営してもらうため委託した事業者で、委託費は1億円です。浸水深をCMも設計業者も知りながら手戻りの設計変更1千800万円を小金井市がなぜ全額負担しなければならないのかです。

また、この1メートルの浸水深に対応するため市は、建物の床レベルに嵩上げし敷地の一部(駐車場)を盛土するというもので、庁舎と駐車場の間は溝になりますが、これは、スロープや階段でバリアフリーにするということです。しかし、防災の拠点として50年、60年と使用する庁舎です。工事費の3千万円増と工期が延びることが問題のようですが、あえてバリアを作らず敷地全体を盛土し浸水を防止すべきです。

第二庁舎を適正な金額で借用し、適正に使用すれば無駄とはいえない、が私の持論ですが、早期竣工のための拙速は避け、慎重な判断が求められます。指摘の声が聞こえてこないのも残念です。

(つづく)

走り続けた16年(188)

コロナ禍と新庁舎問題

新型コロナウイルスの感染拡大は、人類がその長い歴史の中で様々な危機を乗り越えたことでしょうが、全世界のあらゆる国の人々が同時に打撃を受け、これ程に生命と日常生活が脅かされるということは過去に例のないものと思われます。

拡散はワクチン接種の進んだ先進国から発展途上の国へ。国内においては都心部から地方へも広がってます。現在、三度目の緊急事態宣言となり、それが再三の延長となっています。さらに、国内外において感染力の強い変異型ウイルスの猛威が広がっています。

このコロナ禍による経済と生活の再建に向け、社会全体が協力し合うことを柱に「誰もが安全で安心して暮らすことのできる社会の実現」のため、世界中が協力しあう必要性を感じています。

今、望まれるのは一日も早くワクチン接種が完了し、幼児から高齢者までのマスク姿の異常な状況にピリオドを打ち、元の普通の生活に戻ることです。

このコロナ禍により経済状況は激変しており、小金井市財政に与える影響も非常に大きく、当局は令和7年までの5年間の歳入減は61億5千万円であり、その不足分は財政調整基金(預金)の取り崩しで賄うとしてます。

令和2年11月19日に開かれた市議会「庁舎及び福祉会館建設等庁舎特別委員会(庁特)」で、驚くような事態が報告されました。

それは「令和2年8月に公表した本市の防災マップに掲載している浸水予想区域図に対応した庁舎機能の確保について、現在検討しているところです」というものでした。

この浸水予想区域図は、令和元年6月27日に東京都から通知されたもので「新庁舎建設エリアの建物部分、駐車場、広場の部分が1メートルの浸水深となる」というものです。

4か月後の令和元年10月31日に、市と設計事業者とCM(コンストラクション・マネージメント)事業者による「機械設備分科会」でこの情報は共有されるが、報告は公にされず、具体的に対応されることもない中で、令和2年2月、基本設計が完成し、さらに、令和2年6月、実施設計に入ったのです。

CMとは、市には技術系職員が不足し、大規模な事業の実績もないことから、知識や経験の豊富な専門家に、本事業を包括的に管理運営してもらうため委託した事業者です。

問題は、令和元年6月に情報を得ていたが、それを議会に報告することもなく着々と事業を進め、市長は「令和2年11月以降は設計変更はできない」とまで発言しています。

令和2年8月、外部から「新庁舎に浸水の危険性はないか」との問合わせで、市当局はここで設計上の対応策を取らざるを得ないとの認識に立ち、その検討に入ったのです。

その結果が令和2年11月19日の市議会での報告となりました。

令和3年第1回定例会に、浸水予想区域図の改定に伴い、新庁舎・新福祉会館の浸水対策等を講じるため、実施設計の見直し業務を委託するため、約1千800万円の補正予算が3月8日市議会本会議で可決されました。

また、基本設計の作成中に設計事業者もCMも情報を共有してたにもかかわらず適切な対応もせず、1千800万円の設計変更の費用を小金井市だけが請求通り全額を負担することも問題です。

(つづく)

走り続けた16年(187)

コロナ禍について③

新型コロナウイルスの感染が1年半を経過しても収まる気配はなく、5月の大型連休の後、大都市から地方へ感染拡大が進み、三度目の緊急事態宣言の発令となり、その期間が延長され、さらに、再延長が発令されることになりました。感染は都市部から地方への拡散が進んでいます。

新型コロナウイルスの恐怖に対抗する救世主として期待されるワクチン接種が医療関係者、そして、高齢者に向けて本格化の状況が報道されています。政府は、7月中に3千500万人超の高齢者の接種を終了したいとしています。小金井市では高齢者接種の進捗に、医師会、そして指定医療機関の協力もあり、かかりつけ医による患者の予約が進んだことで、接種率が向上したと報道されています。

高齢者の市民が交わす挨拶は「ワクチン接種した?」「予約できた?」となってます。

私も、指定医療機関で6月7日午後に第一回目を、そして、二回目は6月28日に接種の予約ができました。

最近になって新型コロナウイルスの変異株の感染者が急増し猛威を振るっていると報道されています。それが現在のワクチンで十分に機能するのか。

また、2度の接種により免疫を得たとしても、その有効期間がどの位なのか。インフルエンザのように毎年の接種が必要なのか、免疫期間が長期になるよう今後の研究・開発に期待したいものです。

8月からは基礎疾患のある人々、そして、勤務等で時間的に制約される一般市民への接種となりますが、希望する人全員に少しでも早く接種できることを願うものです。

このコロナ禍による影響で経済状況は悪化し、その長期化が予想され、過去に例をみない経営環境が想定されます。それは、市財政にも大きな影響を与えることになり、昨年10月、市当局は市議会に令和7年度までの5年間の地方税の税収は55億円と予測し、それに地方消費税交付金は6億5千万円の減、合わせて61億5千万円の減収を見込む財政計画を発表しました。これは平成20年9月に経験したリーマンショックの影響を参考にしたものですが、このコロナ禍の影響はリーマンショックを上回るもので、5年間で回復することは困難と思われます。

西岡市長も「先行きが見えない状況にありかつてない市民生活への深刻な影響とその長期化が懸念される」との認識を示してます。

国の施策ですが、高校生相当以下の子どものいるひとり親世帯に対して、コロナ禍の影響を踏まえ、児童扶養手当受給者および同手当受給者相当の収入状態にある世帯に対し、臨時・特別の給付金を対象児童一人につき5万円を支給することは評価されるものです。

また、夢を抱いて大学に入学したが、このコロナ禍によりアルバイトもなく、学生生活継続に困窮している人に対しても「誰ひとり取り残さない政治」が求められます。

それらに対応するには市議会の意思でもある新庁舎等建設の大幅なコストダウンとなる計画の見直しをすべき時にあります。

このコロナ禍を全く想定しない中で立ち上げた計画に固執するのでなく、今、市としていかにあるべきか、一旦、立ち止まって考える必要があります。

(つづく)

走り続けた16年(180)

「或る障がい者の死」⑤

平成28年11月28日午後3時、八王子市館町の八王子療護園の会議室に、重度の障がいのある山ヵ絵里さんが、自らの遺言の公正証書作成のため、関係する人が集まりました。

それは、元検事の公証人、二人の医師、社会福祉士の後見人、弁護士の後見監督人と証人が二人、そして、絵里さんをサポートしている施設の支援者等十数人が待機する部屋に車椅子に乗った絵里さんが入室しました。表情は分からなかったが、最高に緊張してるものと思われました。

公正証書作成は、最初に公証人から本人確認がされ、証人である絵里さんが十年間通所していた小金井市障害者福祉センターの吉岡博之所長と私が、山ヵ絵里さんに相違ないと証言。そして、二人の医師が絵里さんに判断能力があるか否かの診断で、「遺言者が遺言をするに、障害により事理を弁識する能力を欠く状態にないことを認める」との診断で、公正証書の作成に入りました。

公証人から絵里さんに亡くなった後、残った財産を寄付することでいいかとの趣旨を分かりやすく説明し、絵里さんがこれを了解しました。そして、公証人は具体的に「どこに寄付します」との問いに、A3判のボードに書かれた五十音図で「こかねい」と指差し、公証人の「小金井市でいいですか」を肯定しました。次に、遺言の執行を誰に進めてもらいますか、との問いに「いなは」そして「よしおか」とボードの文字を指差し、公正証書に表記される内容が確認されました。

その結果、遺言公正証書は「本公証人は、遺言者山ヵ絵里の嘱託証人吉岡博之の立会いの下に、遺言者は口がきけないため、ボードで文字を指し示した趣旨を筆記してこの証書 第1条 遺言者の全財産を小金井市に包括して遺贈する。

第2条 遺言執行者は稲葉孝彦、吉岡博之の両名を指定する。
となりました。

本旨外要件として、公正証書の内容を読み聞かせ、かつ、閲覧させたところ、各自その記載に誤りがないことを承認し、署名する。とし、山ヵ、稲葉、吉岡とあり、遺言者の山ヵは病気のため署名できないので、本公証人が代書した。というものです。

本来、遺言執行者は一名で済むものですが私は絵里さんより16歳も年上であり、遺言の執行者には相応しくないとの思いから、若い吉岡さんにもお願いし、単独でも執行できる、としたものです。

また、遺言者が本遺言をするに、障害により事理を弁識する能力を欠く状況になかったと認め、二人の医師の署名となりました。

末尾に「この正本は、遺言者の請求で同日、前同所において原本に基づき作成した」とあり、最後に公証人の所属と署名があります。

この遺言公正証書の作成は困難の連続でした。しかし、市長を退任し、時間的に余裕があったことから、なんとか、目的を達成することができました。

その後も、絵里さんは病気を抱えながらも特に変わること無く、私たちとの交流は令和に入っても続きましたが、令和2年7月、小金井に帰りたいとの彼女の希望で、桜町病院ホスピスに入院し、令和2年8月、息を引き取りました。享年61歳でした。

(つづく)