苦闘する庁舎問題⑥
平成3年12月のバブル経済時に120億円の最高値で小金井市土地開発公社が先行取得した蛇の目工場跡地を、バブル崩壊後、激減する税収の中でその借入金80億円を返済していくという大変厳しい最悪のパターンになってしまいました。
これは、議会も与野党を問わず大久保慎七市長に購入を求めた結果でもあります。誰もがバブル経済の崩壊を見通せず、地価の下落なども考えられず、熱に浮かされたように蛇の目工場跡地の購入に走ったのです。
庁舎建設基金等40億円を頭金とし、新庁舎建設に着手できないことから、緊急避難として、議会の同意を得て10年の契約で第二庁舎を賃借しました。しかし、新庁舎が建設できなければ、リース庁舎が続くことになり、平成15年には新たに平成20年まで、そして、25年、さらに、30年へとリース庁舎が続くことになります。
平成11年、私が市長就任以降、小金井市の行財政改革が進み、財政の健全化が見えてきた平成20年9月、再び、リーマンショックに見舞われました。それは、世界経済に大きな打撃を与えましたが、小金井市など基礎自治体も税収減等大きな影響を被りました。
私は、従来から庁舎建設は市の政策の優先順位は決して高くないと考えており、市民施設が優先されるべきと考えていました。
庁舎と福祉会館を比べたら福祉会館が優先するというのが考えでした。ただ、小金井市の場合は賃借庁舎であるという特殊事情が、庁舎建設へと向かわせました。
蛇の目工場跡地が、完全に小金井市の所有になったのは平成23年度で、借金の返済に約20年を要しました。また、同年総務省は庁舎建設のための起債(借金)の限度率を、建設事業費の50%から75%に緩和したのです。
10億円の自己財源があれば40億円の庁舎を建てることができるのです。就任時40万円の庁舎建設基金は約4億円となり、これを早急に10億円にするのが当面の目標でした。
また、財政調整基金は就任時の70万円が約16億円になりました。
庁舎建設が見えてきたことから、庁内に新庁舎建設基本計画市民検討委員会を立ち上げ検討に入りました。
庁舎の建設場所について、議会は蛇の目跡地と再開発第2地区に二分され、また第二庁舎の取得を主張する議員もいました。庁舎の位置の変更は議会の特別多数議決であり3分の2以上の同意が必要になります。
そこで、新庁舎建設市民検討委員会の答申を私も尊重するので、議員もいろいろ考えがあるでしょうが、建設場所にあたっては、市民検討委員会の答申を尊重してもらいたいとお願いしました。
答申は、場所を蛇の目工場跡地とし、全体規模を1万3千平方㍍を上限に、建設費は55億円で33億円が借入金で一般財源での捻出が10億円です。建設スケジュールは5年で竣工の計画でした。
私の不安は財源問題です。再び、後年度負担の大きな借金や一般財源の10億円など、蛇の目工場跡地取得の経過がトラウマになっていました。
そこに、再び大きな問題が派生しました。
(つづく)