走り続けた16年(66)

ガソリン混入灯油の販売事故①

私が市長に在任した16年の間で、強く印象に残り、忘れられない日がいくつもあります。そのひとつが、就任2年目の平成13年1月17日に発生したガソリン混入の灯油販売事故です。約24時間の出来事ですが、今でも鮮明な記憶として残っています。

午後10時30分頃、市役所から自宅に電話があり、貫井北町2丁目のガソリンスタンドでガソリンの混入した灯油を販売してしまったと連絡が入りました。私は、関係する職員を早急に招集すること、小金井市消防団の渡辺勝巳団長に連絡し、早急に市役所に来てもらうよう職員に伝え、市役所へ向かいました。

事故の原因は午後5時半頃、タンクローリーが荷卸しの際、ガソリンと灯油の双方の地下タンクへの結合口を取り違え、同時に投入するという単純なミスでした。同スタンドで給油した車のエンジンが不調との訴えから午後10時頃にコンタミ(ガソリンと灯油の混交)が生じていることが判明しました。

車に灯油が給油されればエンジン不調で済みますが、ガソリンの入った石油ストーブを点火すれば、場合によっては天井まで炎が上がるなど爆発的な燃焼となり、制御が困難になることもあります。そのため、火災になることもあり火傷や人命に関わる可能性もあることから、何としても使用前に回収しなければなりません。

登庁し、担当職員から購入者が10人である等の説明を受け、私はこのコンタミ燃料を何んとしても回収するため、全力を注ぐ決意を職員に伝えました。

消防団長には団員を招集し、消防車を使っての広報活動と、他の団員はいざという時のため分団詰所に待機し、いつでも出動できる体制を執ることを要請しました。

この時点で回収できたのは、スタンドによる自主回収の2件だけでした。

小金井消防署、消防団、そして、小金井警察署によるコンタミ燃料の回収に関する巡回広報活動が開始されました。

広報活動の効果で2件が回収され、残りは6件となりました。

さらに、市の防災同報無線を使うことを決め、市役所に苦情が来ることを覚悟し、零時に私がマイクを持ちました。すぐに反応があり、それは、こんな夜中に迷惑だとの声もありましたが、何を言ってるのか内容が分からない、というのが殆どでした。さらに、30分後に同様の放送を繰り返しました。

ジェイコム東京にはテロップで事故と回収について常時放映してもらいました。

これらの効果で、午前1時位までに更に2件の回収があり、残り4件になりました。

1時半過ぎ、消防署で諸澤一男署長、渡辺消防団長と私、署と市の関係職員と第1回の対策本部会議を開き、絶対に火災は発生させないということを基本に、これまでの対応を確認することや、お互いの果たすべき役割分担を確認しました。

市役所に戻り、夜が明けたら行うべき作業に備え、チラシやポスター、住宅地図等の作成を職員とともに徹夜で行いました。

(つづく)