走り続けた16年(212)

大久保慎七市長退任へ

市長選挙出馬を決めた私は、平成11年2月25日、千葉県小見川町(現・香取市)の実家にその報告に行きました。養父は「自分で決めたことなら頑張れ」と賛成してくれましたが、母は最後まで反対でした。報告が終えて帰る時、突然、養父が「浜町に行こう」と言うのです。浜町とは銚子市浜町で妻の実家を指すのです。私と妻が父の会社を辞めて家を出てから約25年間、浜町に行くことのなかった養父の言葉に驚きました。25年振りの賓客に妻の実家は驚きの大歓迎となり、永年のわだかまりを解消するのに十分な時間になりました。夕方、成田線小見川駅で両親と別れる時、養父は上機嫌で「選挙は頑張るように」と言われ、私は「元気で」と車の窓越しに初めての握手で別れました。私には思いがけない展開で心晴れやかな気持で東京に戻りました。そして、26日、予定通り市長選出馬の記者会見を済ませ、翌日の27日、養父が脳梗塞で突然倒れ昏睡状態に陥った、と同居している弟から連絡が入りました。日程の合間を縫って養父を見舞いましたが、17日間も意識が戻らず3月15日息を引き取りました。

その間に平成11年第1回定例会が開催され初日の3月2日、4月25日の任期での引退を表明している大久保慎七市長の「施政方針」が本会議で示されました。それは、財政危機を示す内容で「国、地方を通じて危機的な状況に立ち至っており、とりわけ従前から脆弱な本市の行財政基盤は過去において例を見ない大幅な財源不足がさらなる追い討ちとなりさながら破たん的状態と言っても過言ではありません」とし、さらに「国の緊急経済対策による追加の特別減税も実施されるに至り、7億9千万円弱の住民税等減税補てん債の発行(借金)が許可される見込みとはいえ、これまでの累積総額が57億円を超えることになり、後年度の大きな財政負担となることも明白であることから、強力な財政再建策を実行していかなければ、赤字団体への転落が必至の情勢にあります」との発言になりました。12年間市政を執行し行革を進めてきた市長が任期を2か月残す最後の施政方針で、「破綻的状態」とか「赤字団体への転落」等との文言で財政の現状評価は辛いもので、財政再建がいかに困難かを表明するものでした。

《今、市政で何が》

1月17日に開かれた行財政改革推進調査特別委員会に配られた資料を見て驚きました。それは、今後5年間の行革の数値目標である「『アクションプラン2025』は作らない」「職員に行革疲れが起こっている」と記載されているのです。

行革は目的でなく、あくまで手段であり、その目的はあくまで「市民サービス向上」にあるのです。それは、量の行革もあれば質の行革もあります。

地方自治法第二条13項では「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」とされており、納税者から預かった税金は、効率的な行政執行で納税者である市民にきちんと返すことが課せられているのです。市長の「行革疲れ」との文言は民間企業や納税者には通用しません。税金を使う者には常に効率的な行政執行が求められるのです。

(つづく)

走り続けた16年(211)

街づくりへの挑戦⑪区画整理

多摩地区の背骨とも動脈ともいわれるJR中央線の高架は、小金井市にとっても最重要課題であり、その事業推進は沿線市の街づくりの熟度に掛かっており、困難を極める東小金井駅北口の区画整理事業の進捗にその成否がかかっていました。

大久保慎七市長は平成10年9月定例会に区画整理事業の入り口となる「東小金井駅北口土地区画整理事業施行規定を定める条例(以下、施行規定を定める条例)」を提案しました。区画整理事業を施行する場合、法の規定に基づき、この条例の制定は必須条件です。しかし、これが想定外の難航となりました。

9月4日に提案された「施行規定を定める条例」は本会議での質疑が、9日、10日、24日と続き、やっと定例会の最終で中央線・駅周辺整備調査特別委員会(駅・中特委)に付託はされ審査されましたが、事業に対する入り口論の質疑が続き、条例の中身に入れず継続審査が繰り返されることになりました。

私は平成11年の年明け早々の7日、同僚の佐藤義明議員と都の区画整理部を訪ね、施行規定を定める条例の制定の難航から、その対応策等の協議でしたが、都は部課長とともに道路監も同席し、大歓待となり我々が面食らう程の対応でした。

都はその数日後、東小金井駅北口の区画整理事業の遅れによる不透明感はあるが、多摩地域全体を考え、中央線高架化事業の起工式を3月18日に行うことを発表しました。

1月28日に開かれた駅・中特委でも決着が着かず今後4年間に受けられる5億円の区画整理の補助金は放棄することになりました。

議会の同意が得られ難いのは、地権者の過半の反対からでした。

翌月の29日、沿線市等の市長が建設省(当時)に国庫補助の拡大の要請行動を行い、大久保市長も同行しました。沿線市の関係者からは「小金井のために高架化が遅れることがあってはならない」との声も出ていただけに、大久保市長には針のむしろに座る思いだったことでしょう。

2月5日、大久保市長が記者会見で、高齢を理由に4月の市長選に立候補せず4月25日の任期を以て引退することを表明しました。

自民党は大久保市長の後継者の選考に入りました。大久保市長から「後は頼む」と言われていた私は、執行部の立候補への意思確認に「自民党が決めれば責任は回避しない」と回答。執行部は、議会の議席が減ること、また、議会内や行政との調整役を誰がするのかが問題視されました。市議補欠選挙で穴を埋める、議会等との調整は自らが行うことで方向性が定まり、20日の幹事会での決定を公明党に伝えました。

20日の幹事会は、規約上、市長候補の決定は総務会ではないか、との冒頭の発言から、同一メンバーではあるが、総務会を24日に開くことだけを決めて散会しました。自民党の推薦が条件の公明党には、この経過が伝わらず、22日に推薦を決定しプレス発表するハプニングもありました。自民党は24日の総務会で推薦を決しました。

26日、市長選出馬の記者会見をすることから、25日に千葉の田舎に日帰りで市長選に立候補することを伝えに行きました。養父は出馬に賛成で、頑張るようにとのことでしたが、母は妻が大変になるから止めるようにの一点張りでした。

(つづく)

走り続けた16年(210)

新庁舎問題について

昨年末は新型コロナウイルス感染拡大が収まりつつあったのが、「オミクロン株」の急激な感染拡大により、第6波に入りました。オミクロン株はデルタ株と比べて重症化のリスクが少ないと言われていますが、その感染力は非常に強く、すでに感染者の80%以上がオミクロン株と発表されています。国も自治体も3回目のワクチン接種に全力を注ぐとともに、私たちも感染拡大防止に努めなければなりません。新型コロナウイルスの市民生活や市財政への影響も大きく、一日も早い収束を願うものです。

さて、本市最重要課題である庁舎建設問題に、昨年12月定例会で大きな動きがありました。それは、西岡市長から、庁舎建設の建築確認申請手続きは行わず、建設に必要な予算は3月の定例会には上程しない。改めて予算提出ができるよう検討する時間を頂きたい、と庁舎建設の延期が表明されたことです。

これは、11月16日に開かれた市議会全員協議会に示された令和3年度から7年度までの「中期財政計画(案)」で、令和2年度の基金(市の預金)総額98億円が令和7年度には13億円まで減少する、という内容で、当然、議員からは、市民生活への影響を危惧する発言が出されました。しかし、市長は「影響が出ないように努める」と具体策を示すことなく予定通り3月定例会に庁舎建設予算を提案する考えを示しました。これに対し、行政のチェック機関である市議会16議員が「市民と議会の理解を得るまでの間、庁舎等建設に係る建築確認申請は行わないこと」とする内容の申し入れをしました。この申し入れに対応したのが前記の市長発言となったものです。

庁舎建設による市財政への逼迫は当然起こります。市長が市民生活に影響を与えないように努めるとしても、新たな福祉施策や市の独自策、事業充実のための予算の横だし上乗せには自主財源を必要とするからです。

新庁舎建設に関して全ての議員が賛意を示し、市民の多くも望んでいるのに何故、スムーズな展開にならないのか。それは、ボタンのかけ違いにあると思われます。西岡市長はその選挙戦で「(市庁舎、福祉会館、図書館等)6施設の複合化は67億円で新たな市民負担は無い」との選挙公約で当選しました。就任後「6施設複合化は直近の民意であり何としても果したい」との発言でスタートしましたが、数か月後、新たな計画に「これは、私の揺るぎない決断だ」となり、また数か月後「ゼロベースで議会や市民と協議したい」と選挙公約は白紙撤回。その6施設で67億円も現在は庁舎、福祉会館の総事業費は123億円となっているのです。

西岡市長の市長選挙の公約から今日までの発言などの変遷を辿ってみると、あまりに前のめりで、既成事実を積み上げれば、議会は反対できない、との打算が感じられます。

この『検討』にどの程度の期間を要するか分かりませんが、「検討した結果、現計画を進めることが財政的にも日程的にもベストだ」との結論とするならば、市民も議会も納得できる論拠を示さなければなりません。

12月22日の定例会最終日、「新庁舎及び(仮称)新福祉会館建設に関して、西岡市長に誠実な対応を求める決議」が賛成16反対6で可決されました。

(つづく)

走り続けた16年(209)

新しい年のスタートにあたって

希望に満ちた新しい年のスタートです。東京は好天に恵まれ、連日、市内各所から霊峰富士を仰ぎ見ることができました。特に、野川第一調節池北にある「はけの森97階段」の上からの富士山は、遮るものもなくその勇姿が一望できます。それは、日没後のシルエットも同様です。

関東地方は小金井市と同様のお天気続きでしたが、北海道や東北、西日本の豪雪を考えると手放しで喜んではいられません。

一方、年末・年始の人の移動によるのか、落ち着いていた新型コロナウイルスの感染が拡大され、第6波でないことを願います。また、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の市中感染も広がってます。基本的な感染防止対策の徹底と早急な3回目のワクチン接種が望まれます。

さて、昨年12月市議会で、西岡市長が積極的に進めてきた、新庁舎や福祉会館の建設に必要な建設確認申請は行わず、令和4年3月定例会に建設費も提案しないことを表明しました。市長は、抜本的な見直しは手戻りになるから避けるべき、と言いつつ、議会の理解で進める事業であることから、と微妙な言い回しをしています。これまで、見直しの機会は、市民への意見聴取(パブリックコメント)の時や、都が水害予測地図(ハザードマップ)で庁舎建設予定地は1メートルの浸水の危険性を指摘した時点で。また、新型コロナウイルスの感染が拡大した時点で、議会の意思を尊重して、一旦立ち止まって考えていれば、手戻りの損失は最小限で済んだのではないでしょうか。

総事業費が123億円まで膨らんだ以上、設計変更以外の手法でコストダウンが図れるなら市長も与党系議員も早急に解決策を示す必要があります。

設計はシンプルであるべきです。6階建庁舎に、北側の3階の福祉会館を複雑に組み込ませたL字型や、庁舎にはより安全な地震対応では市民の理解は得られ難いです。西岡市長は就任するやいなやこれまで進めていた福祉会館の建設を白紙に戻しました。継続していれば平成31年には完成していたのです。

また、既成事実を積み上げるためか、平成30年度で市はリサイクルセンター事業から撤退しました。このリサイクルセンターは今でも空き家のままで、閉鎖が早すぎました。

本紙、令和元年6月11日号の特別投稿「新庁舎建設に当たって」で、私は多くの提案をしました。庁舎建設予定地は、保育園児の散歩コースで、遊び場でもあります。この庁舎屋上に天然芝を植えて市民に解放すれば安全で、下を走る中央線の電車を見て喜ぶ園児の顔が目に浮かびます。

小金井市の魅力発信・シティプロモーション、その代表はスタジオジブリと貫井北町にある情報通信研究機構(NICT)です。日本の標準時といえば明石市と言われますが、それは、子午線(東経135度)が通っているだけのもので、日本の標準時を作っているのは小金井市のNICTなのです。この標準時を発信する時計を庁舎の避面に設けるか、時計塔で中央線で通勤・通学等する人々にアピールしてはいかがでしょうか。小金井市のイメージアップにつながるのは確実です。

また、スタジオジブリには時計塔等のアイデアなどをお願いしてはいかがでしょうか。

(つづく)

走り続けた16年(208)

謹賀新年

新年明けましておめでとうございます。希望に満ちた新春を健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。

昨年のご厚誼に感謝するとともに、本年も本欄のご愛読を宜しくお願いします。

昨年は新型コロナウイルス感染拡大に世界中が震撼させられた一年でした。長く続いてきた平凡な日常生活がいかに大切なのかを思い知らされています。

外国では感染拡大が続く中、わが国のデルタ株による第5波が急速に収まったのはなぜなのか。これにより、日常生活も商業活動も次第に復活しつつありますが、新たに変異株「オミクロン株」の発生で再び緊張感が高まっています。

新年は、多くの人々と接する機会が多く、感染防止の基本であるうがい手洗いマスクの着用を励行し、平穏な1年のスタートになることを願います。

願わくは、発展途上国や紛争国、そして難民キャンプ等、環境に恵まれない世界の隅々までワクチンや治療薬等が行き届くよう、世界中が協力し地球規模での対応が必要です。

1年遅れて開催された2020東京オリンピック・パラリンピックは、不安が充満する世界に夢と希望と感動を与えました。パラリンピックではハンディキャップのある人々の活躍が世界中の人々に勇気を与えました。

オリパラによる観光客の誘致や、そのレガシーが期待されましたが、異例の無観客開催となり、国も、各自治体も感染拡大防止で精一杯だったようです。

また、地球温暖化が原因なのか、地球規模で異常気象による想定外の自然災害が世界各地で発生しています。これも、私たちの利便性を求める生活が地球に過剰な負荷を掛けたことが原因と思われます。私たちの生活を見直すときにあるのではないでしょうか。

小金井市においては本年も市庁舎等の建設が大きな課題になるものと思われます。

西岡市長就任直後から公約の庁舎問題は変遷の繰り返しです。

市長は12月17日の市議会特別委員会で「これまで積み上げてきた新庁舎や(仮称)福祉会館の抜本的な見直しは、大きく手戻りすることになる事から避けるべきと考えていますが、議会のご理解を得ながら進めて行かなければならない事業であることから、建築確認申請手続きはまだ行わず、建設工事に係る予算は第1回定例会には上程しない事として、あらためて、予算提出ができるよう検討する時間を頂きたいと存じます。今後の予定につきましては、適切な時期にお示しいたします」と庁舎建設の延期を表明しました。

市長は「抜本的な見直しは、大きく手戻りになるから避けるべきと考えています」としていますが、これまで何度も見直すべき時に耳を貸さず、延ばしてきたその責任は重大です。コロナ禍において、大幅なコストダウンは当然で、業者を叩いて泣かすことや質を落とすことにはならずそれには設計の見直しが必要です。設計に手つけずにコストダウンするのは無理です。

たとえ議会の要望があったにしても、決断したらそれは市長の責任であり、責任転嫁は許されません。それだけの権限が市長には与えられているのです。

庁舎建設の延期は何時までで、その間、何を検討しようとしているのか、透明性のある市政運営でなければなりません。多くの市民の声を聞き、夢のある庁舎建設を期待します。

(つづく)