コロナ禍と新庁舎問題③
新型コロナウイルスの感染が続き、国内においても下げ止まりの傾向にあります。そのような中、切り札となるワクチン接種が加速化されています。
我が国の接種率が先進国の中で著しく低いのはワクチン接種のスタートが遅れたことに起因します。この遅れを取り戻すため国も地方自治体も全力で取り組み、日々、接種者数と接種率の向上が報道され、希望の光が見えてきました。心強い限りです。何より一層ワクチン接種の加速化が求められます。
私たちは現在、自由で何一つ不足のない豊かな生活を送っていますが、テレビは早朝から深夜に至るまでコロナ関連ニュースの放映が続き、そして、市内全域に向けての防災行政無線での感染防止の放送。飲食店が酒の販売停止や営業時間の短縮、国民は外出の自粛が求められるなど、あの戦争以来の異常事態ではないでしょうか。
コロナ禍を通して世界はひとつであり、自国だけで課題を解決できることではなく、世界が一つであることを思い知らされます。
さて、7月23日の東京オリンピック2020の開会式まで残り僅かになりました。本来であれば国を挙げてのお祭りにも関わらず、コロナ禍のため1年の延期となり、さらに、再延期や中止の声も大きくなっています。
私は、東京オリンピック、パラリンピックは安全を確保した上で無観客ででも開催すべきと考えます。それは、新型コロナウイルスにより打ちひしがれている時、世界中の子どもから高齢者まで、誰れもが夢と希望と感動を享受することで元気を取り戻す、歴史的な大会にするためです。
このコロナ禍により国も自治体も財政は大打撃を受けており、小金井市においても令和7年までの5年間で61億5千万円の歳入減が想定され、さらに、雇用の喪失や収入の減少による市民生活に与える影響も大きく、歳出の民生費の増加が必要とされます。
歴史的激変の今日、財政的裏付けも示さない中、コロナ禍以前の庁舎計画を見直すこともなく進めていくことには疑問を持たざるを得ません。
市は、昨年2月15日号の市報特集号で、新庁舎・(仮称)新福祉会館建設基本設計(案)が示され、その案に対し3月5日までの間、パブリックコメントを実施し、市民からの意見を求めました。出された主な意見は、広場の設置、福祉会館も庁舎同様、安全性の高い免震構造に。建設工事費のコストダウン。市のシンボルとなる大時計の設置等でしたが、市は、これらの要望に対応することはありませんでした。
6階建ての庁舎の北側に3階建ての福祉会館は、庁舎に食い込んだ複雑に「重ね合わせる」形になっています。これは、建設費もメンテナンス費も高額になり、防災、日照等を考えると設計者の遊びにしか見えません。
これらの諸課題を解消する専門家の市民案が提案され議会でも質疑されたようです。西岡市長には自らの案に拘泥されるのでなく、市民案と比較考量する必要があります。それは、市の意見募集に応じた案であり、市民要望を取り入れた形であることからも再考すべきです。今後50〜60年と使う『市民の市役所』です。このコロナ禍を契機に、一度立ち止まって見直す必要があると考えます。
(つづく)